【展示期間】1月15日〜 2月15日
このたび、九州国立博物館は特別展「古代日本と百済の交流 - 大宰府・飛鳥そして公州・扶餘 - 」を開催いたします。
百済は、古代の朝鮮半島南西部の地に存在した国で、中国南朝の影響を示す洗練された文化が花開き、特に4世紀以降は日本との交流も深まっていきました。ここ太宰府の地に、百済から渡来した技術によって水城や大野城が築造されてから1350年の節目を迎えるこの時期に開催される本展は、まさにその節目を記念する大きな意義を持つと言えます。
本展では、奈良・石上神宮 いそのかみじんぐう 伝来の国宝七支刀 しちしとう をはじめ、古墳時代から飛鳥時代にかけての百済と古代日本との深いつながりを示す文物の数々をご紹介し、長きにわたる交流の歴史をたどります。韓国考古学史上最大の発見とされる公州・武寧王陵 ぶねいおうりょう 出土墓誌をはじめとする副葬品、日本の仏教文化のルーツともいえる扶餘・王興寺址 おうこうじあと 出土の舎利容器など、百済仏教文化の栄華を物語る韓国の国宝、宝物の数々が一堂に公開されるのは日本では初めてのことです。
激動の東アジアにおける両国の絆 きずな や、百済より伝えられた文化や技術が日本へ与えた影響の大きさを知ることで、壮大な古代のロマンと日韓交流の深い縁を再確認する機会となれば幸いです。また、同時開催の特別展「日本発掘 - 発掘された日本列島2014 - 」もあわせてお楽しみください。
最後になりましたが、本展開催にあたり多大なご協力を賜りました大韓民国国立公州博物館、大韓民国国立扶餘文化財研究所をはじめ、国内外のご所蔵者の皆様、ご協力・ご協賛を賜りました関係各位に心からお礼申し上げます。
主催者
上記以外の期間は、七支刀(模造)を展示します
第1章では、奈良県石上神宮に伝来する七支刀だけでなく、この刀とともに『日本書紀』に記され、百済から日本へ贈られた七子鏡 ななつこのかがみの謎についても、ご紹介します。また、日本のみならず中国とも交流し、東アジアの架け橋となった武寧王の生涯にも光を当てます。百済、そしてその向こうに広がる中国との交流に思いをはせ、展覧会が始まります。
百済に圧力をかける唐、新羅の存在のため、緊張関係にあった朝鮮半島。日本と組んだ百済は白村江 はくそんこう の敗戦によって再興の望みを絶たれることになります。しかし、ここ大宰府では百済から渡来したひとびとの技術により水城 みずき や大野城 おおのじょう、基肄城 きいじょう が築かれました。ここで用いられた技術や文物からは、当時の土木技術の水準の高さを知ることができます。まさに現在の太宰府のルーツは百済にあるのです。
663年に東アジア最強を誇った唐・新羅連合軍に敗れた大和朝廷にとって、同盟国百済の滅亡は、対岸の火事ではありませんでした。とくに、大陸に最も近い九州はその最前線であり、ひとたび事が起これば真っ先に影響を受ける場所でもあり、事実、その危機が迫っていました。そこで、当時の大和朝廷は、大和とは別に西海道の政治・軍事の中心を置き、それを山城などで囲んで徹底的に防御することとしました。それが大宰府です。まず、水城、そして翌年には大野城と基肄城とが完成し、大宰府の守りが固まりました。平成26年(2014)は水城が、平成27年(2015)は大野城・基肄城が出来て1350年となるところから、さまざまな記念行事も計画されています。
仏教文化は百済を通じて我が国へもたらされ、飛鳥の地ではじめて花開きます。日本の初期仏教における造寺造仏、舎利信仰の形態は、百済にそのルーツを見ることができるといえるでしょう。百済仏教文化の栄華を物語る扶餘 ふよ の王興寺 おうこうじ 址出土品とともに、大和の古寺に伝わった仏教遺宝を展示し、百済の仏教が日本にどのように伝わり、根づいていったかを紹介します。
百済武寧王陵と滋賀県の三上山下古墳から出土した3つの鏡は同じ型からつくられたもので、両者の関係の深さを物語っている。七つの乳を配してその間に神獣を刻む獣帯鏡と呼ばれ、この種の鏡が『日本書紀』に登場する「七枝刀 ななつさやのたち」とともに贈られた「七子鏡 ななつこのかがみ」とされている。伝三上山下古墳出土の獣帯鏡は戦前に紹介されて以降、長らく所在不明であったが、近年再発見され、改めて注目を浴びることとなった。
城門の扉の回転軸を受け止める鉄製金具で、日本の門扉にはもともとなかった部品。大野城跡出土品は国内唯一にして、列島最古の資料でもある。百済滅亡の際に倭国へ亡命してきた百済人の存在を裏付ける資料で、大宰府の城の城門が百済都城の城門に似たものであったことが分かる。本展は大宰府と百済で見つかった三つの扉軸受金具を比較する史上初の試みである。
全国で毎年8,000件ともいわれる発掘調査。しかし、多くの方にとってその成果に実際に触れる機会は極めて限られています。そこで文化庁は注目される発掘調査成果を中心に展示を企画し、全国を巡回させることによって、埋蔵文化財に親しみ、その保護の重要性の理解を深めるための取り組みを毎年行っています。平成26年度はその20回目となる節目の年であり、「日本発掘」展と題して、従来の発掘調査速報に加え、日本を代表する遺跡の発掘調査成果や、調査後に重要文化財に指定されたものを紹介します。また東日本大震災の復興に係る発掘調査成果を展示し、被災地における文化財保護への取り組みを紹介します。
平成7年から始まった「発掘された日本列島」展。その20周年を記念して今回は、「日本発掘」展と銘打って、開催館ごとに異なる重要文化財等を展示する。日本を代表する発掘調査成果を紹介し、全国を巡回する。
九州国立博物館 | ||
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14 | 史跡 上野原遺跡(鹿児島県霧島市)縄文時代早期 約7,500年前 | |
15 | 特別史跡 原の辻遺跡(長崎県壱岐市)弥生時代後期 1,800年前 | |
16 | 史跡 笹原古墳(長崎県壱岐市)古墳時代後期 1,500年前 | |
17 | 島内地下式横穴墓群(宮崎県えびの市)古墳時代中期 1,600年前 | |
18 | 史跡 佐味田宝塚古墳(奈良県河合町)古墳時代前期 1,700年前 | |
19 | 新山古墳(奈良県広陵町)古墳時代前期 1,700年前 |
旧石器時代 | ||
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20 | 史跡 白滝遺跡群(北海道遠軽町)後期旧石器時代 約15,000年前 |
縄文時代 | ||
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21 | 東名遺跡(佐賀県佐賀市)縄文時代早期 約7,000年前 | |
22 | 特別史跡 三内丸山遺跡(青森県青森市)縄文時代前期 約5,500年前 | |
23 | 野首遺跡(新潟県十日町市)縄文時代中期 約4,500年前 |
弥生時代 | ||
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24 | 特別史跡 吉野ヶ里遺跡(佐賀県吉野ヶ里町)弥生時代中期 約2,000年前 | |
25 | 泉坂下遺跡・小野天神前遺跡・海後遺跡(茨城県常陸大宮市・那珂市)弥生時代中期 約2,000年前 | |
26 | 黒鳥遺跡(長崎県対馬市)弥生時代中期 約2,000年前 | |
27 | 銅鐸出土遺跡(近畿地方中心)弥生時代中期 約2,000年前 |
古墳時代 | ||
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28 | 鴨都波1号墳(奈良県御所市)古墳時代前期 約1,700年前 | |
29 | 応神天皇陵古墳(大阪府羽曳野市)古墳時代中期 約1,600年前 | |
30 | 史跡 今城塚古墳(大阪府高槻市)古墳時代後期 約1,500年前 | |
31 | 特別史跡 キトラ古墳(奈良県明日香村)飛鳥時代 約1,300年前 | |
32 | 特別史跡 高松塚古墳(奈良県明日香村)飛鳥時代 約1,300年前 |
古代 | ||
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33 | 特別史跡 山田寺跡(奈良県桜井市)古代 約1,400年前 | |
34 | 石神遺跡(奈良県明日香村)古代 約1,400年前 | |
35 | 史跡 川原寺跡(奈良県明日香村)古代 約1,400年前 | |
36 | 川原寺裏山遺跡(奈良県明日香村)古代 約1,400年前 | |
37 | 特別史跡 藤原宮跡(奈良県橿原市)古代 約1,300年前 |
中世 | ||
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38 | 博多遺跡群(福岡県福岡市)室町時代 約500年前 | |
39 | 瀬戸古窯跡群(愛知県瀬戸市)平安〜江戸時代 約900〜150年前 |
近年発掘された遺跡や、成果がまとまった注目の遺跡の出土遺物が全国を巡回する。
旧石器時代 | ||
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40 | 地蔵田遺跡(秋田県秋田市)後期旧石器時代 約35,000年前 |
縄文時代 | ||
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41 | 長竹遺跡(埼玉県加須市)縄文時代後晩期 約3,000年前 |
弥生時代 | ||
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42 | 東町田遺跡・荒尾南遺跡(岐阜県大垣市)弥生時代中期 約2,000年前 | |
43 | 上御殿遺跡(滋賀県高島市)弥生時代中期 約2,000年前 |
古墳時代 | ||
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44 | 史跡 能美古墳群(石川県能美市)古墳時代中期 約1,600年前 |
古代 | ||
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45 | 平安京右京三条一坊六町(京都府京都市)平安時代 約1,000年前 |
中世 | ||
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46 | 下馬周辺遺跡(神奈川県鎌倉市)鎌倉時代 約700年前 |
近世 | ||
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47 | 鉄砲山古墳 忍藩角場遺構(埼玉県行田市)江戸時代 約150年前 | |
48 | 品川台場(第五)遺跡(東京都港区)江戸時代 約150年前 |
東日本大震災からの復興と、埋蔵文化財保護の両立を図るため岩手・宮城・福島の3県では、全国からの支援を受けて、発掘調査が急ピッチで進められている。多くの方々に東北地方の豊かな歴史にふれていただきたい。
東日本大震災の復興と埋蔵文化財の保護 | ||
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49 | 波怒棄館遺跡(宮城県気仙沼市)縄文時代前期 約5,500年前 | |
50 | 堂の前貝塚(岩手県陸前高田市)縄文時代中期 約4,500年前 | |
51 | 畠中遺跡(岩手県山田町)縄文時代後期 約3,500年前 | |
52 | 荒井広瀬遺跡(宮城県仙台市)弥生時代中期 約2,000年前 | |
53 | 桜田IV遺跡(福島県広野町)奈良時代 約1,300年前 | |
54 | 南狼沢A遺跡(福島県新地町)鎌倉時代 約800年前 | |
55 | 新井田館跡(宮城県南三陸町)室町時代 約500年前 |