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『 工芸のいま 伝統と創造 』を楽しむ、さらに2つの話 その1
実物はもっと凄い「糸の滝」

これは、初期のイメージ図です。

こちらはその後に出来た完成希望図
今回の展示では、テーマパークのようなシンボル展示を四ケ所作っています。これは、「わぁっ」って思っていただくことで、現実の世界を忘れ、美の世界に飛んでいくための仕掛けです。それと、それぞれの分野を象徴するものでもあります。
今回はその中で、最も苦労した「糸の滝」をご紹介しましょう。いやぁ、本当に大変でした。
初期のイメージ:
染織の象徴である「糸」。これを円形に、外から内へ次第に濃くなるグラデーションとする。
制作は試行錯誤

染織部門の作家の皆様に、協力をお願いし、糸をどうするかから始まりました。いろいろ検討を重ね、当初の1本1本の糸を使う計画から、久留米絣の糸を使うことになりました。15本の糸を1本としたもので、一部に染めも施されています。
これを内側は濃い色に。外側は薄い色に、全部で300本を天井の高さから、床まで吊るします。 最初に1本1本、糸を伸ばして長さを揃え、糸巻きに巻きつけていきました。

天板と下の台に糸を固定して、次第にその高さを上げていきました。この方法が確立するまでにも試行錯誤が…。

糸ってこんなにこんがらがるものなんですね。

おう、これで出来た、と思った所から、さらに良くしていこうという虫が騒ぎ始めました。

台座の四隅にアップライトをつけました。これで糸の滝が立体的に浮かび上がりました。
ぐるぐる回りながら見ると、久留米絣の紺と白のおかげで、本当に滝のように見えてきます。

天井を見上げると、糸の影がとてもきれいです。
会場では、周囲を回りながらご覧いただき、天板の影の美しさも是非、ご覧下さい。

この仕事があまりに大変だったので、参加者全員の名前入りのキャプションを作ることにしました。