会期:

平成30年9月12日(水)〜10月21日(日)

展示場所:

文化交流展示室 第1室・9室・10室・11室

主催:

九州国立博物館

概要:

坂本五郎氏(1923-2016)は、古美術商「不言堂」を創設し、日本だけでなく世界市場を舞台に活躍しました。稀代の目利きとして国内外で高く評価され、そのコレクションは、日本・東洋を広く越え、オリエントに到るまで多彩な内容を誇ります。
平成29年(2017)、坂本氏のご遺志を受けて、重要文化財2件、重要美術品4件を含む、坂本五郎コレクション259件が当館へ寄贈されました。本展は、これを記念してコレクションの全貌を公開いたします。当館でしか見ることのできない名品が一堂に鑑賞する絶好の機会です。ぜひご堪能下さい。


主な展示品
日新除魔図
日新除魔図

葛飾北斎筆
江戸時代 天保13〜14年(1842〜43)

北斎(1760〜1849)が83〜84歳のとき、自らの長寿を祈り、わざわいを除く毎朝の日課として描き続けたもの。さまざまな姿態に描かれた獅子図165枚と、獅子舞など人物図54枚の全219枚からなる。北斎最晩年の作風を知らせる貴重な肉筆画。

色絵松竹梅文瓶子
〔右〕重要文化財 色絵松竹梅文瓶子いろえしょうちくばいもんへいし
〔左〕色絵松竹梅文瓶子いろえしょうちくばいもんへいし

鍋島
江戸時代 17世紀末〜18世紀初頭

鍋島藩窯では、将軍家をはじめ武家、公家等への献上品として、最高水準の磁器を生産した。本作品はおそらく特別に誂えられたもので、描かれた文様がいずれも吉祥的性格が強いため、婚礼や五節句などのための調度として作られたものであろう。坂本氏はそれぞれ別の機会に入手したが、色鍋島の瓶子はこの二点しか確認されておらず、元は一対であった可能性が高い。

古今和歌集
古今和歌集

伝藤原公任筆
平安時代 12世紀

『古今和歌集』の二十巻分の詞書と和歌を上下二冊に書写した粘葉装でっちょうそうの冊子本。濃淡それぞれに染めた紫・茶・藍の色替わりの料紙や、藍と紫の繊維を小さく配した飛雲紙、藍の繊維をたなびく雲のように漉き懸けた打曇紙うちぐもりがみなど、多彩な装飾料紙であつらえられる。先行研究によれば「仮名序」と「真名序」を除く全テキストが完存する『古今和歌集』の現存最古例と考えられ、貴重である。

梅竹の図真形釜
重要美術品 梅竹の図真形釜うめたけのずしんなりがま

室町時代 15世紀

筑前国芦屋津あしやづ(現福岡県芦屋町)で室町時代・15世紀を中心に制作された芦屋釜。梅樹と竹をあらわした真形釜で、底が取り替えられつつも、錣羽しころばは当初のままであり貴重である。近代名古屋を代表する実業家で、数寄者としても著名だった伊藤次郎左衛門(1878〜1940)旧蔵品。

朱漆練行衆盤
朱漆練行衆盤しゅうるしれんぎょうしゅうばん

鎌倉時代 13世紀

奈良・東大寺に伝来する練行衆盤(重要文化財、永仁六年(1298))は、二月堂の修二会において練行衆が食事をする際に用いた盤で、裏面に製作年月や漆工名を示す銘文を持つことから、中世漆器の基準作として大変貴重なものである。本作品は、その一連のものであり、寺外に数枚現存するうちの一枚である。

関連イベント


ミュージアムトーク①「坂本五郎コレクションについて」

日時:
平成30年10月2日(火)15時00分から30分程度
担当学芸員:
望月規史(九州国立博物館企画課研究員)
会場:
九州国立博物館4階 文化交流展示室 第9室
入場料:
事前申込不要、聴講無料(ただし文化交流展の観覧料が必要です)

ミュージアムトーク②「坂本五郎コレクションの陶磁器」

日時:
平成30年10月16日(火)15時00分から30分程度
担当学芸員:
酒井田千明(九州国立博物館企画課研究員)
会場:
九州国立博物館4階 文化交流展示室 第1室
入場料:
事前申込不要、聴講無料(ただし文化交流展の観覧料が必要です)

出品リスト

作品名称 指定 員数 作者・制作地等 時代 年代世紀
大日如来像   1幅   平安〜鎌倉時代 12〜13世紀
布袋図   1幅 栄賀筆 南北朝時代 14世紀
秋冬山水図屏風   6曲1隻 伝周文筆 室町時代 15〜16世紀
南蛮屏風   6曲1隻   江戸時代 17世紀
洛中洛外図屏風   6曲1双   江戸時代 17世紀
大応・大燈・関山像   3幅 白隠慧鶴筆 江戸時代 18世紀
日新除魔図 重要文化財 219枚 葛飾北斎筆 江戸時代 天保13〜14年(1842〜43)
古筆手鑑「まつかぜ」   1帖   平安時代〜鎌倉時代 11〜14世紀
古今和歌集   2帖 伝藤原公任筆 平安時代 12世紀
河嶽英霊集断簡   1幅 伝高枝王筆 平安時代 9世紀
書状   1幅 豊臣秀吉筆 安土桃山時代 文禄3〜4年(1594〜95)
書状   1幅 豊臣秀長筆 安土桃山時代 天正13年(1585)
書状   1幅 高台院筆 安土桃山時代〜江戸時代 16〜17世紀
書状   1幅 淀殿筆 安土桃山時代〜江戸時代 16〜17世紀
書状   1幅 常高院筆 江戸時代 17世紀
書状   1幅 興安院筆 江戸時代 17世紀
書状   1幅 天秀尼筆 江戸時代 元和2年(1616)
書状   1幅 近江局筆 江戸時代 17世紀
詠草   1幅 山崎豊治室筆 江戸時代 17世紀
観音菩薩立像   1軀 中国 中国・北斉時代 武平7年(576)
梅竹の図真形釜 重要美術品 1口   室町時代 15世紀
梅竹の図真形釜   1口   室町時代 15世紀
霰真形釜   1口   室町時代 16世紀
霰真形釜   1口   室町時代 16世紀
円窓梅寿老人の図霰釜   1口   江戸時代 17世紀
波貝の図真形釜   1口   安土桃山時代 16世紀後半
卍字文釜及び唐銅欄干風鑪   2口   安土桃山時代 16世紀後半
責紐釜   1口   室町時代 16世紀
弾膚瓢箪釜   1口   安土桃山時代 16世紀後半
梶の釜   1口   室町時代 16世紀
桧垣松梅図甑口釜   1口   室町時代 16世紀
延暦寺三猿釜   1口 西村道仁作 安土桃山時代 16世紀後半
桐紋撫肩釜   1口 西村道仁作 安土桃山時代 16世紀後半
姥口釜   1口 名越浄味(初代)作 安土桃山時代 16世紀後半
法華堂釜   1口 名越浄味作 江戸時代 18世紀
八景図肩衝釜   1口 大西定林作 江戸時代 18世紀
鶴首羽釜   1口   室町時代 16世紀
梅竹の図平釜   1口   室町時代 16世紀
糸目姥口宝珠釜   1口   室町時代 16世紀
浜松文尾上釜   1口   江戸時代 18世紀
黒木(束柴)釜   1口   安土桃山時代 16世紀後半
胴締雲龍釜   1口 宮崎寒雉作 江戸時代 18世紀
唐銅砥草図眉風鑪   1口 大西浄清作 江戸時代 17世紀
唐銅獅子咬鐶付風鑪   1口   江戸時代 18世紀
南蛮人牡丹唐草象嵌鐙   1双 平安城住吉泉作 江戸時代 17世紀後半
灰釉短頸大壺   1口 猿投 平安時代 9世紀
鉄釉印花蕨文広口壺   1口 瀬戸 鎌倉時代 14世紀
大皿   1枚 備前 安土桃山時代 16世紀
三耳大壺   1口 備前 安土桃山時代 16世紀
三耳壺   1口 備前 安土桃山時代 16世紀
志野茶碗 銘 若宮   1口 美濃 安土桃山時代 16〜17世紀
銹絵片輪車千鳥文双耳壺   1口 唐津 安土桃山時代〜江戸時代 16世紀末〜17世紀初頭
銹絵芦図大皿   1枚 唐津 安土桃山時代〜江戸時代 16世紀末〜17世紀初頭
銹絵山水文双耳鉢   1口 唐津 安土桃山時代〜江戸時代 16世紀末〜17世紀初頭
透彫釣灯籠 「元和五年」銘 重要美術品 1基 備前、木村次郎介作 江戸時代 元和5年(1619)
透彫釣灯籠 「寛永八年」銘   1基 備前、備前国伊部村九兵衛作 江戸時代 寛永8年(1631)
染付山水人物図大鉢   1枚 伊万里(有田) 江戸時代 17世紀前半
色絵花鳥図手付鉢 重要美術品 1口 伊万里(有田) 江戸時代 17世紀中葉
色絵孔雀牡丹太湖石図瓶   1口 伊万里(有田) 江戸時代 17世紀中葉
色絵花鳥三果文大鉢   1枚 伊万里(有田)・柿右衛門窯 江戸時代 17世紀後半
色絵松竹梅文瓶子 重要文化財 1口 鍋島 江戸時代 17世紀末〜18世紀初頭
色絵松竹梅文瓶子   1口 鍋島 江戸時代 17世紀末〜18世紀初頭
色絵獅子形香炉    1合 仁清 江戸時代 17世紀
五彩草花蓮弁文茶碗   1口 ベトナム 黎朝時代 16世紀
五彩牡丹唐草文稜花盤   1枚 ベトナム 黎朝時代 16世紀
五彩牡丹文大壺   1口 ベトナム 黎朝時代 16世紀
菊蒔絵瓶掛   1基   安土桃山時代 16世紀
朱漆練行衆盤   1枚   鎌倉時代 13世紀
朱漆輪花盤   1基   室町時代 16世紀
鋸歯文蒔絵鞍   1背   江戸時代 17世紀
四区袈裟襷文銅鐸 重要美術品 1口 出土地不明 弥生時代 前2〜前1世紀
六区袈裟襷文銅鐸   1口 出土地不明 弥生時代 前1〜1世紀
須恵器 多嘴壺   1口 猿投 奈良時代 8世紀
*坂本五郎コレクション全259件のうち、本展では主要な作品73件を公開いたします。