大宰府学研究

九州国立博物館「大宰府学研究」事業シンポジウム

大宰府と坂道を考える。 ― つづら折りの官道と古代の坂越え ―

2024年2月3日(土)に九州国立博物館ミュージアムホールにおいて開催されたシンポジウムの当日資料集です。無料で閲覧・ダウンロードできます。

<シンポジウム概要>
古代の西海道では、大宰府を中心に官道(駅路)が伸び、大宰府と都、そして管内の諸国府とを結んでいました。直線的で強い規格性をもった古代の官道の遺構や痕跡は、大宰府の周辺でも多数確認されています。しかし、官道がどのように険しい山(峠)を越えていたのかという点は、研究上の課題でした。
近年、つづら折りの坂道を構築して急峻な丘陵を乗り越える官道(山陰道)の遺構が、日本で初めて確認されました。本シンポジウムでは、この発見を手がかりとして、山に挟まれた大宰府、そして山がちな九州を中心に、古代の官道のあり方、そして人々と坂道との関係について考えます。

<掲載原稿>

  • 基調講演「坂・峠と日本古代の交通」
    鈴木景二(富山大学)
  • 報告1「つづら折りの古代官道の発見 —因幡国山陰道跡の調査—」
    坂本嘉和(鳥取県教育文化財団)
  • 報告2「大宰府山越えの古代道 —塹山堙谷・辟山通道・大直小曲—」
    小鹿野亮(筑紫野市歴史博物館)
  • 報告3「大宰府管内の坂道 —西海道につづら折り官道はあったか—」
    大高広和(九州国立博物館)
  • 紙上報告「「鞍韉尽しの坂」の探究」
    小嶋篤(九州歴史資料館)

九州国立博物館「大宰府学研究」事業・特別史跡「大野城跡」史跡指定90年記念シンポジウム

大宰府四王院 ― 「西の都」に築かれた鎮護国家思想の寺 ―

2022年9月3日に九州国立博物館ミュージアムホールにおいて開催されたシンポジウムの当日資料集です。無料で閲覧・ダウンロードできます。

<シンポジウム概要>
大宰府政庁の背後にそびえる四王寺山には、古代山城として名高い特別史跡「大野城跡」があり、古代大宰府を軍事的に防衛していました。その実態については、福岡県及び九州歴史資料館、太宰府市、大野城市、宇美町による長年の発掘調査によって、古代山城としての構造など、その一端が明らかとなっています。
大野城跡は奈良~平安時代以降、徐々に軍事的役割を弱める一方で、それにとって代わるように鎮護国家思想によって四王院(四天王寺)が創建されました。さらにその後も四王寺山には、原山無量寺などの寺院、岩屋城などの中世山城などが置かれ、中世に至っても大宰府の中で、その重要な位置づけは変わりませんでした。
本シンポジウムでは、大野城が置かれていた時にも既に創建され、大宰府のみならず日本列島規模においても重要な位置を占めた四王院について、その解明の光を当てます。

<掲載原稿>

  • 基調講演「日本古代の境界意識と四天王信仰」
    三上喜孝(国立歴史民俗博物館教授)
  • 研究発表「筑紫大野城と大宰府四天王寺」
    松川博一(九州歴史資料館)
  • 研究発表「古代四天王信仰の成立と変容─八・九世紀の彫刻作例を主題として─」
    近藤 謙(元亀岡市文化資料館)
  • 研究発表「四王院跡と四王寺山経塚群」
    岡寺 良(九州国立博物館)
  • 紙上報告「大野城跡・四王院跡出土土器の総量分析」
    吉田東明・進村真之・宮地聡一郎・小嶋篤(九州歴史資料館)

九州国立博物館「大宰府学研究」事業・科学研究費助成事業「日中文明遺物の産地探索をめざす中近世沈船・舶載遺物の考古学と自然科学の融合研究」シンポジウム

アジアを変えた鉄 ― 大宰府鴻臚館の衰退と海商の時代 ―

2022年3月5日に九州国立博物館ミュージアムホールにおいて開催されたシンポジウムの当日資料集データです。無料で閲覧・ダウンロードできます。

<シンポジウム概要>
琉球諸島・日本列島の発掘調査で発見されていた謎の鉄製品「棒状鉄製品」。近年、「宋元代の沈没船」が相次いで発見され、貿易のための航海中に沈んだこれらの船に日本出土品と同一形態・同一法量の棒状鉄製品(鉄条)が大量に積まれていることが明らかとなり、本品がアジアをまたぐ交易品として売買されていたことが実証されました。加えて、東南アジアの研究では、宋元代と並行する13~15世紀に、東北タイ・中部タイの在来鉄生産が衰退することが明らかにされており、中国産鉄の流通が周辺諸国の産業にも影響を与えている状況も浮き彫りになってきました。
本シンポジウムでは、「宋元代沈没船に積載された大量の鉄素材」や「琉球諸島・日本列島で出土した棒状鉄製品」を手がかりに、東アジアの鉄流通の実態を探ります。日本列島の中近世の流通鉄素材は専ら「たたら製鉄」で生産され、「日本刀」の素材はすべて国産とみる定説も、アジア規模で流通する棒状鉄製品の存在が明らかになった今、新たな視点から検証していく必要があるでしょう。また、宋元代と並行する日本列島では、古代より「大宰府鴻臚館」が担ってきた対外交易の役割が、東シナ海沿岸の「海商」へとダイナミックに移り変わる時代とも重なっており、各地域の社会変化も注視されます。
上記のような複合的課題を明らかにするために、本シンポジウムでは考古学と自然科学の融合研究を試み、新たなアジア史の構築を目指します。

<掲載原稿>

  • 展示紹介「アジアを変えた鉄」
  • 桃﨑祐輔(福岡大学人文学部)
    基調講演「中世遺跡出土の棒状鉄素材は中国宋からの輸入鉄か - 朝倉市才田遺跡・八重山出土品に注目して」
  • 小嶋 篤(九州歴史資料館)
    研究発表「棒状鉄製品の流通と鉄生産の変動」
  • 石黒ひさ子(明治大学日本古代学研究所)
    研究発表「南海Ⅰ号から発見された鉄資料 - 沈没船資料に見える鉄素材 - 」
  • 沼子千弥(千葉大学大学院理学研究院)
    研究発表「生物を介する環境での鉄の動態」
  • 市川慎太郎・佐藤かのん・脇田久伸・栗崎敏(福岡大学理学部)
    研究発表「棒状鉄資料の蛍光X線分析における問題点 - 資料表面の錆の影響 - 」
  • 上野淳也(別府大学文学部)
    研究発表「南蛮交易と金属の流通 - 海のシルクロードと戦国大名 - 」
  • 古澤義久(福岡大学人文学部)
    研究発表「高麗島伝説と西沙群島の水中遺跡」
  • 孟原召
    紙上報告「華光礁一号沈船と宋代南海貿易」
  • 丁見祥
    紙上報告「南澳Ⅰ号―その位置・意味と時代―」

研究論集 第2集

九州国立博物館が令和元年度~2年度に実施した大宰府学研究の「講演会・シンポジウム・連続講座資料」から35本の原稿を収録。 新型コロナウィルス感染抑止のため未開催となった発表資料に加え、半数以上の19本の原稿が新稿(書き下ろし)という充実の内容です。 「大宰府史跡指定100年」にいたる研究の歩みを振り返るとともに、最新研究の成果を把握する参考書として、ご活用ください。 下記より無料で閲覧・ダウンロードできます。

研究論集 第1集

九州国立博物館が「平成」に実施してきた大宰府学研究の「講演会・シンポジウム資料」をすべて収録。新稿(書き下ろし)を含む42本の原稿で構成され、大宰府・古代山城・客館・宝満山・沖ノ島等についての最新研究成果がまとめられています。「大宰府」をさらに広く、より深く考えるための参考書として、ご活用ください。下記より無料で閲覧・ダウンロードできます。

研究論集 第1集
研究論集 第1集
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研究論集 第1集
研究論集 第1集
研究論集 第1集
研究論集 第1集