特別展

特別展
国宝 大神社展
特別展の紹介動画【約1分】
本展のみどころ
出品作品数165作品のうち、122作品が国宝・重要文化財!
日本人の心の原郷を探るまたとない機会。
圧巻!神像彫刻の名宝がずらり。
福岡展限定公開も多数。

会期
平成26年1月15日(水)〜3月9日(日)


休館日
月曜日


会場
九州国立博物館 3階 特別展示室


開館時間
午前9時30分〜午後5時
(入館は午後4時30分まで)


出品目録


観覧料
一 般1,500円(1,300円)
高大生1,000円(800円)
小中生 600円(400円)
*(  )内は前売りおよび団体料金(20名以上の場合)
*上記料金で九州国立博物館「文化交流展(平常展)」もご覧いただけます。
*障がい者とその介護者1名は無料。入館の際に障害者手帳等(*)をご提示下さい。
(*)身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳、被爆者健康手帳、特定疾患医療受給者証
*満65歳以上の方は前売り一般料金でご入場いただけます。チケット購入の際に年齢が分かるもの(健康保険証・運転免許証等)をご提示ください。
*キャンパスメンバーズの方は団体料金でご入場いただけます。チケット購入の際に学生証、教職員証等をご提示ください。
*チケット販売窓口では下記電子マネーがご利用いただけます。
注)ご利用いただけるのは当日券のみです。団体券・割引券等にはご利用になれません。
電子マネー (WAON、nanaco、iD、Edy、Kitaca、Suica、PASMO、TOICA、manaca、ICOCA、nimoca、はやかけん、SUGOCA)

電子マネーアイコン


お問い合わせ
050-5542-8600(NTTハローダイヤル午前8時〜午後10時)


主催者からのごあいさつ


展覧会構成
*画像はクリックすると拡大します。
第一章 祀りのはじまり

日本には仏教伝来以前から、日本独特の自然や精霊を崇拝する神道の原形ともいわれる信仰が存在したと考えられます。人々は山や岩、海や川、さらには森や草木にさえも神を見出し、それらを畏(おそ)れ敬(うやま)ってきました。
この章では、山の神や海の神に対する祀りのはじまりを、祭祀遺跡から発見されたさまざまな資料から考えるとともに、神に捧げられた神宝に宿る美の世界を紹介します。また、『古事記』『日本書紀』『延喜式神名帳』などの文献資料を通して、神社で祭神が祀られはじめた頃の様子を紹介します。


主な作品

神の島に奉献された黄金の渡来品

金銅製龍頭

国宝 金銅製龍頭 こんどうせいりゅうとう
福岡県宗像市沖ノ島祭祀遺跡出土
東魏時代 6世紀 福岡・宗像(むなかた)大社

[展示期間:2月11日(火)〜2月23日(日)]

 

国宝 金銅製龍頭 こんどうせいりゅうとう
福岡県宗像市沖ノ島祭祀遺跡出土
東魏時代 6世紀 福岡・宗像(むなかた)大社

[展示期間:2月11日(火)〜2月23日(日)]

宗像大社の沖津宮が鎮座する玄界灘の孤島沖ノ島で発見された、龍の頭の形をした一対の金具です。竿の先に付けて、その口から天蓋や幡を吊り下げていたと考えられます。中国の東魏時代に作られた渡来品とみられ、「海の正倉院」沖ノ島を代表する宝物の一つです。

日本の原点 現存最古の写本

3週間限定公開
 

国宝 古事記 賢瑜書写 こじき けんゆ
南北朝時代 応安4年(1371)写 愛知・大須観音宝生院(おおすかんのんほうしょういん)
[展示期間:2月18日(火)〜3月9日(日)]

『古事記』は天地の始まりから推古天皇までの出来事を記した、わが国最初の歴史書で、和銅5年(712)に太安万侶が編纂しました。この写本は『古事記』の現存最古の写本で、九州初公開となります。

八幡大神のお告げ集成

八幡宇佐宮御託宣集 巻八・巻十四
(巻十四)

大分県指定有形文化財
八幡宇佐宮御託宣集 巻十四 はちまんうさぐうごたくせんしゅう
室町時代 15世紀 大分・宇佐(うさ)神宮
[巻八 展示期間:1月15日(水)〜2月9日(日)]
[巻十四 展示期間:2月11日(火)〜3月9日(日)]

 

大分県指定有形文化財
八幡宇佐宮御託宣集 巻八・巻十四 はちまんうさぐうごたくせんしゅう
室町時代 15世紀 大分・宇佐(うさ)神宮
[巻八 展示期間:1月15日(水)〜2月9日(日)]
[巻十四 展示期間:2月11日(火)〜3月9日(日)]

八幡総本宮である宇佐神宮に関する歴史や伝承をまとめたものです。今回は、道鏡の即位が阻まれたことで有名な宇佐八幡神託宣事件の記述がある第8巻、神代に比売大神(ひめおおかみ)が顕れた地とされる御許山(おもとやま)の絵図が収められた第14巻をご紹介します。

第二章 古神宝

神社で社殿が造られ、神々が祀られるようになると、殿内に人が住んでいるのと同じように、祭神のために特別に製作された装束や身のまわりの調度、武具などの神宝が納められました。こうした神宝は、本来は人目に触れないものですが、その役目を終え殿内から取り下げられたものが古神宝です。古神宝の形式や装飾は、かつての王朝貴族が用いたものにならい、錦や綾、蒔絵螺鈿(まきえらでん)といった工芸技術を駆使して製作された優美華麗なものです。
ここでは嚴島神社、鶴岡八幡宮、熊野速玉大社、熱田神宮に伝わった古神宝を紹介します。


主な作品

非実用ながら繊細なミニチュア神宝

 

国宝
古神宝類(石帯・平緒・木笏・飾太刀・平胡簶・箭)
こしんぽうるい(せきたい・ひらお・もくしゃく・かざりたち・ひらやなぐい・や)
平安時代 12世紀 広島・嚴島(いつくしま)神社
[展示期間:2月11日(火)〜3月9日(日)]

神の御料は、通常の人間が用いるものに比べると大きく、あるいは小さく作ることが行われました。安芸の宮島に鎮座する嚴島神社に伝わった古神宝類は、繊細な雛形(ミニチュア)に作られたものです。その可愛らしさから安徳天皇の御玩具との伝承も生まれました。

神に捧げられた女房装束

表着 萌黄地小葵桐竹鳳凰模様二陪織物

重要文化財
表着 萌黄地小葵桐竹鳳凰模様二陪織物
うわぎ もえぎじこあおいきりたけほうおうもようふたえおりもの
室町時代 15世紀 愛知・熱田(あつた)神宮
[展示期間:1月15日(水)〜2月9日(日)]

 

重要文化財
表着 萌黄地小葵桐竹鳳凰模様二陪織物
うわぎ もえぎじこあおいきりたけほうおうもようふたえおりもの
室町時代 15世紀 愛知・熱田(あつた)神宮
[展示期間:1月15日(水)〜2月9日(日)]

三種の神器のひとつである草薙剣(くさなぎのつるぎ)を御神体として祀る熱田神宮に伝わった女房装束の表着です。室町幕府八代将軍の足利義政が奉納したものと伝えられており、神宝の伝統的な形式を受け継いだ室町時代の装束として貴重です。桐竹鳳凰の模様は、本来は天皇の御料(ごりょう)に用いられるものです。

源頼朝愛用の太刀

沃懸地杏葉螺鈿太刀

国宝 沃懸地杏葉螺鈿太刀  いかけじぎょうようらでんたち
鎌倉時代 13世紀 神奈川・鶴岡(つるがおか)八幡宮
[展示期間:1月15日(水)〜2月9日(日)]

 

国宝 沃懸地杏葉螺鈿太刀  いかけじぎょうようらでんたち
鎌倉時代 13世紀 神奈川・鶴岡(つるがおか)八幡宮
[展示期間:1月15日(水)〜2月9日(日)]

鎌倉の鶴岡八幡宮は源氏の氏神として崇拝されました。鶴岡八幡宮に伝えられた古神宝は、鎌倉時代初期の武具が含まれた数少ない例です。源頼朝佩用(はいよう)の太刀と伝えられています。

贅を尽くした神の化粧道具

唐花唐草蒔絵手箱

国宝 唐花唐草蒔絵手箱  からはなからくさまきえてばこ
南北朝時代 明徳元年(1390) 和歌山・熊野速玉(くまのはやたま)大社
[展示期間:2月11日(火)〜3月9日(日)]

 

国宝 唐花唐草蒔絵手箱  からはなからくさまきえてばこ
南北朝時代 明徳元年(1390) 和歌山・熊野速玉(くまのはやたま)大社
[展示期間:2月11日(火)〜3月9日(日)]

熊野速玉大社に奉納された手箱のうちの一つです。梨子地に高蒔絵と螺鈿で唐花唐草をあらわしています。中には白銅製の鏡や蒔絵の鏡箱のほか、毛抜き、鋏、耳かき、眉作り、櫛払いなどの化粧道具をおさめています。

第三章 神社の風景

神社は社殿が森に囲まれ、「鎮守(ちんじゅ)の杜(もり)」と称されるように森と深い繋がりがありました。背後に神の宿る山があることも多いです。そのため、社殿を中心とした神域や神奈備山(かんなびやま)を含んだ風景に重点を置いた絵画表現が行われるようになりました。仏教美術では仏・菩薩の像が主役となるのに対し、風景が主役となるのは神道美術における絵画の一つの特徴といえます。
この章では、礼拝の対象として用いられた宮曼荼羅(みやまんだら)や布教にも用いられた参詣曼荼羅(さんけいまんだら)、神社の縁起を描いた絵巻、神域を示すための絵図などを通して、神道特有の思想や往時の神々の景観を展望します。


主な作品

春日野の景観に浄土を観る

春日宮曼荼羅図

春日宮曼荼羅図  かすがのみやまんだらず
鎌倉時代 13〜14世紀 九州国立博物館
[展示期間:2月18日(火)〜3月9日(日)]

 

春日宮曼荼羅図  かすがのみやまんだらず
鎌倉時代 13〜14世紀 九州国立博物館
[展示期間:2月18日(火)〜3月9日(日)]

奈良・春日社の社殿などを配した春日野の景観を俯瞰的に描いています。こうした宮曼荼羅は、神域を現実世界の浄土として捉える思想を背景として制作されたと見られています。この図は小型の画面であることから、貴族が自分の館で春日社を礼拝するための対象として用いたと考えられます。

一目瞭然。聖地那智山のにぎわい

那智山宮曼荼羅

那智山宮曼荼羅  なちさんみやまんだら
室町時代 16世紀 和歌山・熊野那智(くまのなち)大社
[展示期間:2月11日(火)〜3月9日(日)]

 

那智山宮曼荼羅  なちさんみやまんだら
室町時代 16世紀 和歌山・熊野那智(くまのなち)大社
[展示期間:2月11日(火)〜3月9日(日)]

熊野三山のひとつ那智大社への参詣誘致、信仰の布教を目的に描かれた宮曼荼羅のひとつです。参詣の人々で賑わう那智山の様子を親しみやすい図様で描いています。熊野比丘尼と呼ばれる尼僧がこのような絵図を携えて全国津々浦々を巡り、聖地那智山の絵解きを行っていたのでしょう。

「ご当地天神縁起絵巻」のさきがけ

松崎天神縁起絵巻 巻第六

重要文化財 松崎天神縁起絵巻 巻第六  まつざきてんじんえんぎえまき
鎌倉時代 応長元年(1311) 山口・防府(ほうふ)天満宮
[展示期間:2月11日(火)〜3月9日(日)]

 

重要文化財 松崎天神縁起絵巻 巻第六  まつざきてんじんえんぎえまき
鎌倉時代 応長元年(1311) 山口・防府(ほうふ)天満宮
[展示期間:2月11日(火)〜3月9日(日)]

防府天満宮は、菅原道真が太宰府下向の途中滞在した地に創建された、最初の天満宮とされています。創建当初は松崎天神と呼ばれていました。この縁起絵巻は、全6巻のうち5巻までは天神縁起の根本とされた「北野天神縁起絵巻」とほぼ同じで、最後の1巻に松崎天神の創立縁起が描かれます。天神山を背景にした天満宮の社殿は実際の景観に即して、丁寧に描かれています。

神が隠れ住まう神奈備山(かんなびやま)

出雲神社牓示図

出雲神社牓示図  いずもじんじゃぼうじず
鎌倉時代 13世紀 京都・出雲(いずも)大神宮
[展示期間:1月15日(火)〜2月9日(日)]

 

出雲神社牓示図  いずもじんじゃぼうじず
鎌倉時代 13世紀 京都・出雲(いずも)大神宮
[展示期間:1月15日(火)〜2月9日(日)]

京都亀岡・御影山(みかげやま)周辺の風景を描いた絵図です。現在、御影山麓に鎮座する出雲大神宮は8世紀初頭の開創と伝えられますが、この絵に社殿らしきものはなく、鳥居の向こうにある御影山こそが信仰の中心であることを示しています。古来自然に思いを寄せてきた日本人の原初的な信仰の在り方を伝えてくれます。

第四章 祭りのにぎわい

神や祖霊などを慰め、鎮め、奉仕して、その神威による加護を請い、平和や豊産を期待する、または感謝のあらわれが祭礼です。本来こうした祭礼は地域の共同体や氏族集団などの命運に関る重要な行事でした。祭礼には特別に用意された食事が供えられ、人々も相伴にあずかる神人共食が行われ、神楽や能、舞楽など様々な芸能が奉納されました。
この章では、そうした祭礼の活気に満ちた賑わいを伝える祭礼図屏風、神前での舞楽や能に用いられた装束などを紹介します。


主な作品

王朝風の典雅な神輿

錦貼神輿

重要文化財 錦貼神輿  にしきばりしんよ
鎌倉時代 14世紀 奈良・手向山(たむけやま)八幡宮
[展示期間:全期間]

 

重要文化財 錦貼神輿  にしきばりしんよ
鎌倉時代 14世紀 奈良・手向山(たむけやま)八幡宮
[展示期間:全期間]

菅原道真が詠んだ『百人一首』の歌(「このたびは幣(ぬさ)もとりあへず手向山(たむけやま)もみぢの錦神(にしきかみ)のまにまに」)でも知られる
手向山八幡宮。この神輿は、奈良・東大寺の大仏造立にあたり宇佐八幡神を勧請したさまを再現する祭礼で用いられていたものです。天子の乗り物を髣髴(ほうふつ)とさせる優美な姿をしています。

ほのぼのとした現存最古の相撲人形

相撲人形

相撲人形  すまいにんぎょう
平安時代 12世紀 滋賀・御上(みかみ)神社
[展示期間:2月11日(火)〜3月9日(日)]

 

相撲人形  すまいにんぎょう
平安時代 12世紀 滋賀・御上(みかみ)神社
[展示期間:2月11日(火)〜3月9日(日)]

左四つに組み合った力士二人と、束帯姿で右手に軍配でも執っていたような行司から構成された相撲人形です。力士の組み合うさまや行司の軽やかな立ち姿は絶妙で、全体として素朴な造形にまとめられています。相撲神事をあらわした最古の彫像として注目されます。

力強くてユーモラスな鬼面の楯

面楯

面楯  めんたて
鎌倉時代 13〜14世紀 大阪・住吉(すみよし)大社
[展示期間:全期間]

 

面楯  めんたて
鎌倉時代 13〜14世紀 大阪・住吉(すみよし)大社
[展示期間:全期間]

表に鬼面が浮彫されたこれらの楯は、『秦王破陣楽(しんのうはじんらく)』という王の武勇を讃える舞楽で用いられたと伝えられています。住吉大社には五面伝わりますが、いずれも造形的に力強く、どこか滑稽さすら感じられます。このような面楯は類例がなく、貴重です。

神になった秀吉に捧ぐ風流踊り

豊国祭礼図屏風 狩野内膳筆

重要文化財 豊国祭礼図屏風 狩野内膳筆  ほうこくさいれいずびょうぶ かのうないぜん
江戸時代 17世紀 京都・豊国(とよくに)神社
[展示期間:2月11日(火)〜3月9日(日)]

豊国祭礼図屏風 狩野内膳筆(部分)

重要文化財 豊国祭礼図屏風 狩野内膳筆(部分)  ほうこくさいれいずびょうぶ かのうないぜん
江戸時代 17世紀 京都・豊国(とよくに)神社
[展示期間:2月11日(火)〜3月9日(日)]

 

重要文化財 豊国祭礼図屏風 狩野内膳筆  ほうこくさいれいずびょうぶ かのうないぜん
江戸時代 17世紀 京都・豊国(とよくに)神社
[展示期間:2月11日(火)〜3月9日(日)]

慶長9(1604)年の8月、豊臣秀吉の7回忌に行われた盛大な祭礼を描いた屏風です。右隻には豊国神社を中心にして、奉納能の様子や馬揃えといわれる行列の様子が、左隻には方広寺を中心にして、風流踊りの様子が描かれています。活気に満ちた祭礼の様子が画面から溢れてくるようです。(左隻)

第五章 伝世の名品

神社には、古神宝のほかにもたくさんの宝物が伝えられてきました。社殿を飾る調度や祭具、公家や武家が一門と子孫の繁栄を祈願し納めたもの、神の加護に感謝し寄進したもの、祭礼や行事に用いられた装束や道具、神社の由緒や歴史について記録された古文書などが古くから伝えられてきました。祈願や感謝の意を込めて絵馬をはじめさまざまな品々を奉納する習慣は現在にまで続いています。
この章では、神社に伝わった鏡や調度、刀剣、甲冑、馬具、絵画・古文書のなかから優品を紹介します。


主な作品

アジアを駆ける黄金の馬具

金銅製壺鐙

国宝 金銅製壺鐙  こんどうせいつぼあぶみ
古墳時代 7世紀 福岡・宮地嶽(みやじだけ)神社
[展示期間:全期間]

 

国宝 金銅製壺鐙  こんどうせいつぼあぶみ
古墳時代 7世紀 福岡・宮地嶽(みやじだけ)神社
[展示期間:全期間]

宮地嶽神社境内から出土した馬具のひとつです。足先を袋状に覆う鋳銅製の鐙で、全体のシルエットは流麗で、厚く鍍金が施されています。壺の上面には半肉彫の力強いパルメット文があらわされており、シルクロードとのつながりもうかがえます。

鏡の文様に込められたファンタジー

海獣葡萄鏡

国宝 海獣葡萄鏡  かいじゅうぶどうきょう
唐または奈良時代 8世紀 千葉・香取(かとり)神宮
[展示期間:全期間]

 

国宝 海獣葡萄鏡  かいじゅうぶどうきょう
唐または奈良時代 8世紀 千葉・香取(かとり)神宮
[展示期間:全期間]

白銅鋳造の大型の鏡です。獣をかたどった鈕を中心とする、葡萄唐草文の地文に、獅子・馬・鹿・麒麟・鳳凰・蜂・蟷螂などが配されています。このように禽獣と葡萄唐草文から構成される鏡を海獣葡萄鏡といい、この鏡式は唐に流行しました。大きさや文様構成が全く一致する鏡が正倉院に伝わっており、両者の関係が注目されています。

現存唯一 鎌倉時代の硯箱

籬菊螺鈿蒔絵硯箱

国宝 籬菊螺鈿蒔絵硯箱  まがきにきくらでんまきえすずりばこ
鎌倉時代 13世紀 神奈川・鶴岡(つるがおか)八幡宮
[展示期間:2月11日(火)〜3月9日(日)]

 

国宝 籬菊螺鈿蒔絵硯箱  まがきにきくらでんまきえすずりばこ
鎌倉時代 13世紀 神奈川・鶴岡(つるがおか)八幡宮
[展示期間:2月11日(火)〜3月9日(日)]

金粉を密に蒔いた沃懸地(いかけじ)に、咲き乱れる菊や垣、群れ飛ぶ小鳥を夜光貝の螺鈿であらわした豪華な硯箱です。地の黄金色と貝の白色のコントラストが鮮やかです。源頼朝が後白河法皇から拝領し、その後鶴岡八幡宮に奉納したと伝えられています。

平安の栄華を伝える遺品

毛抜形太刀 伝菅公遺品

重要文化財 毛抜形太刀 伝菅公遺品  けぬきがたのたち でんかんこういひん
平安時代 10〜11世紀 福岡・太宰府(だざいふ)天満宮
[展示期間:全期間]

 

重要文化財 毛抜形太刀 伝菅公遺品  けぬきがたのたち でんかんこういひん
平安時代 10〜11世紀 福岡・太宰府(だざいふ)天満宮
[展示期間:全期間]

菅原道真の遺愛品のひとつとして太宰府天満宮に伝来する毛抜形太刀です。毛抜形太刀とは、柄の中央部に毛抜きの形の透かしがあることからこの名があります。現存する毛抜形太刀の中でも、平安時代の姿を良く残しているものは少なく、貴重です。

天神さまの国宝絵巻

北野天神縁起絵巻 巻第六

国宝 北野天神縁起絵巻 巻第六  きたのてんじんえんぎえまき
鎌倉時代 13世紀 京都・北野(きたの)天満宮
[展示期間:1月15日(水)〜2月9日(日)]

 

国宝 北野天神縁起絵巻 巻第六  きたのてんじんえんぎえまき
鎌倉時代 13世紀 京都・北野(きたの)天満宮
[展示期間:1月15日(水)〜2月9日(日)]

天神縁起を描く絵巻は数多くありますが、なかでもこの絵巻は最古のものであり、縦50㎝を超える大画面、鮮やかな彩色、堂々たる場面描写など、すべてにおいて他を圧倒することからも天神縁起絵巻の「根本縁起」と呼ばれています。今回は、延長8年(930)清涼殿に雷神が現れて落雷させ、延臣たちを死傷させたという場面をご紹介します。

平家一門の願い 善を尽くし美を尽くす

 

国宝 平家納経  へいけのうきょう
平安時代 長寛2年(1164) 広島・嚴島(いつくしま)神社
[願文:展示期間:1月15日(水)〜2月9日(日)]
[観普賢経:展示期間:2月11日(火)〜3月9日(日)]

平家納経は、長寛2年(1164)、平清盛が一門の繁栄と来世の極楽浄土への成仏を祈願し嚴島神社に奉納した経巻です。金銀の箔・砂子などを散らした華麗な料紙を用い、金具、軸に至るまで装飾の限りを尽くして制作された装飾経です。なかでも願文は、清盛自身の清書になり、その力強い筆致が注目されます。

南九州の覇者 武運長久を神に祈る

色々糸威胴丸

重要文化財 色々糸威胴丸  いろいろいとおどしのどうまる
室町時代 16世紀 鹿児島・鹿児島(かごしま)神宮
鹿児島県歴史資料センター黎明館寄託

[展示期間:2月11日(火)〜3月9日(日)]

 

重要文化財 色々糸威胴丸  いろいろいとおどしのどうまる
室町時代 16世紀 鹿児島・鹿児島(かごしま)神宮
鹿児島県歴史資料センター黎明館寄託

[展示期間:2月11日(火)〜3月9日(日)]

胴、裾、袖など、全体を複数の色糸を用いて構成する威を「色々威」といいます。兜の前立てやしころの形状、金具の意匠などに室町時代後期の特色がよくあらわれています。薩摩統一を果たした島津貴久が奉納したと伝えられています。

第六章 神々の姿

目に見ることができない神の姿を、奈良時代の頃から、仏教の影響を受けて人の形に表現するようになり、神像が造られるようになりました。神像は、仏像と違って決まった図像があったわけでなく、当時の貴族の姿であらわされ、表情も個性的に造られました。仏像は参拝者が拝むことができたのに対し、神像は本殿の奥深くに秘められ、直接拝観することはできませんでした。絵画では、姿の一部や神の使いだけを描いて神の存在を間接的にあらわしたもの、神が出現する神秘的、夢幻的な場面を描くものがあります。
この章では、神の姿が表現された彫像や絵画の優品を紹介し、その神秘的な魅力に迫ります。


主な作品

猛神と崇敬された現存最古の男神像

男神坐像

重要文化財 男神坐像  だんしんざぞう
平安時代 9世紀 京都・松尾(まつのお)大社
[展示期間:全期間]

 

重要文化財 男神坐像  だんしんざぞう
平安時代 9世紀 京都・松尾(まつのお)大社
[展示期間:全期間]

現存する神像のうち最初期のもので、祭神の大山咋神(おおやまぐいのかみ)と考えられます。口元の深い皴が老いを感じさせますが、眼光は鋭く威厳があります。今回は市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)と考えられる女神坐像、御子神と考えられる男神坐像とともに三神で公開される、またとない機会です。

清楚で麗しい等身大の女神像

熊野夫須美大神坐像

国宝 熊野夫須美大神坐像  くまのふすみのおおかみざぞう
平安時代 9世紀 和歌山・熊野速玉(くまのはやたま)大社
[展示期間:全期間]

 

国宝 熊野夫須美大神坐像  くまのふすみのおおかみざぞう
平安時代 9世紀 和歌山・熊野速玉(くまのはやたま)大社
[展示期間:全期間]

熊野速玉大社は、熊野本宮大社、熊野那智大社とともに熊野三山と総称され、全国数千社に及ぶ熊野神社の総本宮です。熊野速玉大社の主神のひとつ、熊野夫須美大神坐像はイザナミノミコトと異名同神とされます。等身を超える重厚な神像ですが、その姿は清楚で麗しく、日本神像彫刻の最高峰のひとつと称されています。

みずみずしい美少年姿の神

童子形坐像

重要文化財 童子形坐像  どうじぎょうざぞう
鎌倉時代 13世紀 京都・石清水八幡宮
[展示期間:全期間]

 

重要文化財 童子形坐像  どうじぎょうざぞう
鎌倉時代 13世紀 京都・石清水八幡宮
[展示期間:全期間]

石清水八幡宮は、平安京守護のため貞観元年(859)宇佐八幡神を勧請して創建されました。この像は頭髪を正中で左右に分け、みずらを結う童子形です。頬がふっくらとして瑞々しい少年の相貌を示しますが、神像らしい威厳が備わっています。

神域を警護するガードマン

随身立像 厳成作

重要文化財 随身立像 厳成作  ずいじんりゅうぞう
平安時代 応保2年(1162) 岡山・高野(たかの)神社
[展示期間:全期間]

 

重要文化財 随身立像 厳成作  ずいじんりゅうぞう
平安時代 応保2年(1162) 岡山・高野(たかの)神社
[展示期間:全期間]

神社の楼門や神殿前の左右に祀られる随身像です。阿吽の像が対になって安置されます。高野神社の随身像は等身大であり、とても迫力があります。阿形は弓を引き絞る姿を、吽形は矢を弓につがえる姿を表しており、動きの対比も絶妙です。

大瀧のみを描いた孤高の礼拝画

2週間限定公開
那智瀧図
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国宝 那智瀧図  なちのたきず
鎌倉時代 14世紀 東京・根津美術館
[展示期間:1月15日(水)〜1月26日(日)]

この縦長の画面には、水しぶきをあげて流れ落ちる大瀧だけが描かれています。画面上方の山の端には金色に輝く月が、下方には屋根を貫いて生える大杉が見えます。那智山の神体である那智瀧(飛瀧(ひろう)権現)だけを描いたもので、自然に対する畏敬の念にあふれる、孤高の礼拝画です。

女房装束姿の巨大な女神

子守明神像

子守明神像  こもりみょうじんぞう
南北朝時代 14世紀 奈良・大和文華館
[展示期間:1月15日(水)〜2月9日(日)]

 

子守明神像  こもりみょうじんぞう
南北朝時代 14世紀 奈良・大和文華館
[展示期間:1月15日(水)〜2月9日(日)]

女房装束を重ね着した女神が、胸に赤子を抱き上げ見つめています。向かって左の傍らに盆を捧げて立つ侍女と比べれば、とてつもなく大きく描かれています。常人との大きさの違いを強調して神威を表現する絵画作品の好例です。

鹿島から春日へ。鹿で行く神の旅

鹿島立神影図

鹿島立神影図  かしまだちしんえいず
南北朝〜室町時代 14〜15世紀 奈良・春日(かすが)大社
[展示期間:2月11日(火)〜3月9日(日)]

 

鹿島立神影図  かしまだちしんえいず
南北朝〜室町時代 14〜15世紀 奈良・春日(かすが)大社
[展示期間:2月11日(火)〜3月9日(日)]

春日社第一殿の祭神である武甕槌命が常陸国鹿島より春日の地に影向したとの伝承に基づいて描かれたものです。神鹿、榊、金色の円相というモチーフは春日明神影向の様子をあらわすものです。この絵は後小松天皇から奉納されたと伝えられています。

主催
九州国立博物館・福岡県、NHK福岡放送局、NHKプラネット九州、西日本新聞社


共催
(公財)九州国立博物館振興財団


特別協力
神社本庁、太宰府天満宮


協力
千年の森フォーラム


後援
佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県、九州・沖縄各県教育委員会、福岡市教育委員会、北九州市、北九州市教育委員会、太宰府市、太宰府市教育委員会、西日本リビング新聞社、cross fm、FM FUKUOKA、LOVE FM、西日本鉄道、九州旅客鉄道、一般社団法人日本自動車連盟福岡支部、NEXCO西日本九州支社、一般社団法人福岡市タクシー協会、福岡商工会議所、太宰府市商工会、太宰府観光協会、一般社団法人日本旅行業協会、NHK文化センター、西日本文化サークル連合、西日本新聞TNC文化サークル


協賛
あいおいニッセイ同和損保、大日本印刷、トヨタ自動車、三菱商事、(公財)福岡文化財団