過去の特別展

西日本鉄道創立100周年記念・九州国立博物館開館3周年記念『 国宝 天神さま 』- 菅原道真の時代と天満宮の至宝 -

 このたび九州国立博物館において、菅原道真の生涯と天神信仰のひろがりを紹介する特別展「国宝 天神さま - 菅原道真の時代と天満宮の至宝 - 」を開催します。
 九州国立博物館は、開館3周年記念の大型特別展として、太宰府にゆかりが深く今も「学問の神様」として多くの人々に親しまれている「天神さま」をテーマとした展覧会を企画しました。

 「天神さま」こと菅原道真(845〜903)は、平安時代を代表する学者・詩人であり、有能な政治家でしたが、政争により都から大宰府へ左遷されこの地で亡くなりました。その霊を慰めるため天神として祀ったのが、天満宮のおこりです。
 この展覧会では、太宰府天満宮や北野天満宮をはじめ、全国天満宮の至宝を中心に、菅原道真と天神信仰のすべてをご紹介します。道真の形見の品とされる国宝「伝菅公遺品」(道明寺天満宮)やその生涯を描いた国宝「北野天神縁起絵巻」(北野天満宮)など、「天神さま」ゆかりの国宝がこれまでにない規模で集います。また今回、アメリカのメトロポリタン美術館から「北野天神縁起絵巻」も里帰りします。

 この秋、国宝18点、重要文化財21点を含む「天神さま」ゆかりの至宝が、道真終焉の地・大宰府に集います。ぜひこの機会にひとりでも多くの方々にご覧頂ければ幸いです。

会期

平成20年9月23日(火)〜11月30日(日)

休館日

月曜休館

(月曜日が祝日・振替休日の場合は開館、翌日休館)

*ただし、9月29日(月)は開館。

会場

九州国立博物館 3階 特別展示室

(〒818ー0118 福岡県太宰府市石坂4ー7ー2)

開館時間

午前9時30分〜午後5時

(入館は午後4時30分まで)

作品総数

約120点

(国宝18点、重要文化財21点含む)

出品目録[140KB]

観覧料

一 般 1,300円(1,100円)

高大生 1,000円(800円)

小中生 600円(400円)

*上記金額で当館「文化交流展示」もご覧いただけます。
*( )内は前売り、20名以上の団体料金です。
 団体の前売りはございません。
*障がい者等とその介護者1名は無料です。
 入館の際に障害者手帳等をご提示ください。
*満65歳以上の方は( )内料金でご入場いただけます。
 入館の際に年齢の分かるもの(健康保険証、運転免許証など)をご提示ください。
*キャンパスメンバーズの方は団体料金でご入場いただけます。
 会員証、学生証等をご提示ください。

主催

九州国立博物館、太宰府天満宮、西日本鉄道株式会社、西日本新聞社、TNCテレビ西日本、TVQ九州放送

共催

(財)九州国立博物館振興財団

後援

文化庁、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県、九州・沖縄各県教育委員会、福岡市教育委員会、北九州市教育委員会、太宰府市、STSサガテレビ、KTNテレビ長崎、TKUテレビ熊本、TOSテレビ大分、UMKテレビ宮崎、KTS鹿児島テレビ、OTV沖縄テレビ、tysテレビ山口、西日本リビング新聞社、CROSSFM、FM福岡、LOVEFM、天神エフエム、九州旅客鉄道、(社)日本自動車連盟福岡支部、NEXCO西日本、福岡県タクシー協会、福岡商工会議所、太宰府市商工会、太宰府観光協会、(社)日本旅行業協会九州支部、西日本文化サークル連合、西日本天神文化サークル

特別協力

太宰府顕彰会、全国天満宮梅風会

特別協賛

にしてつグループ

協賛

日本ヒューレット・パッカード株式会社

協力

ANA

前売券発売場所

ローソンチケット(Lコード:84797)チケットぴあ・ファミリーマート(Pコード:688-242)セブンイレブン(商品コード:3000982)ほか主要プレイガイド。

お問い合わせ

050-5542-8600(NTTハローダイヤル午前8時〜午後10時)

展覧会構成
*画像はクリックすると拡大します
第一章 菅原道真 波乱の生涯

 「天神さま」こと菅原道真(すがわらのみちざね)(845〜903)は、父祖の代より文章博士(もんじょうはかせ)を務める学者の家に生まれ、幼い頃から詩歌や作文において類い希なる才能を発揮した。菅原家を継ぎ学者・詩人として名声を極めるとともに、有能な政治家としても活躍し、天皇の信任厚く右大臣(うだいじん)の地位まで上り詰める。しかし、藤原氏をはじめその才能や出世をねたむ者たちの陰謀により、都から遠く大宰府へ左遷され、悲哀と病苦のなかこの地で一生を終える。 本章では、道真愛用の遺品や遺作、その生涯を描いた北野天神縁起絵巻(きたのてんじんえんぎえまき)の名品のほか、当時の文壇の華やかさや大宰府の面影を伝える品々を通じて、宮廷での栄華と大宰府での失意の日々を偲び、その波乱に満ちた生涯をたどる。

主な作品

道真、学者としての活 - 現存最古の写本

類聚国史

国宝 類聚国史(るいじゅうこくし) 菅原道真編
紙本墨書 平安時代・十二世紀 東京・前田育徳会所蔵

国宝 類聚国史(るいじゅうこくし) 菅原道真編
紙本墨書 平安時代・十二世紀 東京・前田育徳会所蔵

菅原道真が『日本書紀』をはじめとした六国史(りっこくし)の記事をその内容にしたがって分類し配列した史書。国情を反映した分類の仕方や原文主義を宗とする編集姿勢には道真の高い見識が表れている。菅原家は代々史書と詩文を講じる学者の家柄であった。道真は宇多(うだ)天皇の命により『日本三代実録』『類聚国史』などの歴史書の編纂に尽力した。本巻は菅原道真を篤く崇敬する金沢藩主前田綱紀(つなのり)が収集したものであり、『類聚国史』の現存最古の写本として貴重である

道真愛用の形見の品々 - 平安の栄華を伝える遺品

玳瑁装牙櫛・白磁円硯

国宝 玳瑁装牙櫛(たいまいそうのげのくし) 伝菅公遺品
象牙製 中国・唐時代・9世紀 大阪・道明寺天満宮所蔵

国宝 白磁円硯(はくじえんけん) 伝菅公遺品
白磁 中国・唐時代・7世紀 大阪・道明寺天満宮所蔵

国宝 玳瑁装牙櫛(たいまいそうのげのくし) 伝菅公遺品
象牙製 中国・唐時代・9世紀 大阪・道明寺天満宮所蔵

国宝 白磁円硯(はくじえんけん) 伝菅公遺品
白磁 中国・唐時代・7世紀 大阪・道明寺天満宮所蔵

道真が愛用したと伝えられる白磁の硯。白磁円硯は当時の貴族にとって垂涎の品であった中国舶載の硯であり、「学問の神様」である道真が持つにふさわしい風格を湛えている。これらは延喜三年(903)に道真が大宰府で亡くなった後、菅原氏の氏寺である土師寺(のちの道明寺・道明寺天満宮)に送られたという。このほかに牙櫛(げのくし)・刀子(とうす)・鏡・牙笏(げのしゃく)・銀装革帯(かわおび)(ベルト)などが伝えられており、いずれも国宝に指定されている。今回、その全てが出品される。

道真も聞いた名鐘の音 - 現存最古の梵鐘

梵鐘

国宝 梵鐘
銅鋳製 飛鳥時代・7世紀 福岡・観世音寺所蔵

国宝 梵鐘
銅鋳製 飛鳥時代・7世紀 福岡・観世音寺所蔵

道真が「都府楼(とふろう)わずかに瓦の色を看(み)る、観音寺ただ鐘の声をのみ聞く」と漢詩に詠ったとされる観世音寺の梵鐘。有名な「不出門」という漢詩の一節であり、大宰府での道真の境遇をよく伝えている。本鐘は京都・妙心寺(みょうしんじ)の鐘と兄弟鐘とされ、日本現存最古の鐘として国宝に指定されている。今回、国宝の梵鐘とともに、同じく漢詩に詠われた都府楼の瓦として、重要文化財の鬼瓦(九州国立博物館所蔵)も出品される。

菅原道真 波乱の生涯 - 門外不出の根本縁起

北野天神縁起絵巻

国宝 北野天神縁起絵巻(きたのてんじんえんぎえまき) 承久本(じょうきゅうぼん)
紙本著色 鎌倉時代・13世紀 京都・北野天満宮所蔵

国宝 北野天神縁起絵巻(きたのてんじんえんぎえまき) 承久本(じょうきゅうぼん)
紙本著色 鎌倉時代・13世紀 京都・北野天満宮所蔵

「天神さま」こと菅原道真の波乱に満ちた生涯と、道真を祭神とする北野天満宮の由緒を描いた絵巻物。多くの天神縁起絵巻の中において、「承久本」は現存最古の遺品であり、門外不出の「根本縁起」として尊ばれてきたものである。本来横に使う料紙を縦にして継いだ広い画面に、ダイナミックな構図と丁寧な表現で人物や風景を描いている。伝来の古さのみならず、画技の見事さ、画面の迫力、内容の充実、いずれをとっても天神縁起絵巻の最高傑作といえる。

道真や醍醐天皇のその後・・・ - アメリカ・ニューヨークから里帰り

北野天神縁起絵巻

北野天神縁起絵巻(きたのてんじんえんぎえまき)
紙本著色 鎌倉時代・13世紀 アメリカ・メトロポリタン美術館所蔵

北野天神縁起絵巻(きたのてんじんえんぎえまき)
紙本著色 鎌倉時代・13世紀 アメリカ・メトロポリタン美術館所蔵

日本太政威徳天(にほんだいじょういとくてん)となった道真、地獄の業火に焼かれる醍醐(だいご)天皇など、他の天神縁起絵巻には見られない独自の場面が満載である。国宝の根本縁起とならぶ天神縁起絵巻の名品といわれる。特別にアメリカニューヨークのメトロポリタン美術館から里帰り公開される。かつて井上馨が愛蔵していた遺品としてもよく知られている。

第二章 天神信仰のひろがり

 菅原道真(すがわらのみちざね)の類い希なる才能と波乱に満ちた生涯は、天神信仰を生んだ。権力者は国を守る神と尊び、文人は文道の祖と崇め、禅僧は中国への憧れから渡唐天神を拝した。江戸時代の寺子屋(てらこや)では書道の神として庶民に親しまれ、現代では学問の神様として多くの人々の信仰を集めている。「天神さま」は時代を映す鏡のように多様な姿をみせ、幅広い階層の人々に受け入れられてきた。 様々な姿の天神像をはじめ、神に捧げられた宝物、神仏習合(しんぶつしゅうごう)を物語る遺宝を通じて、天神信仰の諸相を紹介する。

主な作品

現存最古の怒り天神像 - 九州初公開のご神像

天神坐像

重要文化財 天神坐像(てんじんざぞう)
木造彩色 鎌倉時代・弘長元年(1261) 神奈川・荏柄天神社所蔵

重要文化財 天神坐像(てんじんざぞう)
木造彩色 鎌倉時代・弘長元年(1261) 神奈川・荏柄天神社所蔵

長冶元年(1104)の創建とされ、鎌倉幕府の鬼門の守護神として崇敬された荏柄天神社(えがらてんじんしゃ)に伝来した天神像。激しい憤怒の表情をみせる怒り天神の像容である。銘文には「太政威徳天化現御正体(だいじょういとくてんけげんみしょうたい)」とあり、弘長元年(1261)に天神像として作られたことがわかる。現在は失われているが、像内には木製の五臓六腑が納められていたという。同社には同じく重要文化財の天神立像が伝わっている。天神信仰の東国武士へのひろがりを示す遺品である。

禅僧が秘蔵した天神像 - 天神画像の名品

天神坐像

重要文化財 束帯天神像(そくたいてんじんぞう)
絵本墨画 室町時代・15世紀 山口・古熊神社所蔵

重要文化財 束帯天神像(そくたいてんじんぞう)
絵本墨画 室町時代・15世紀 山口・古熊神社所蔵

菅原道真が九州に上陸した時、休憩するにも敷物がないために、船の纜(ともづな)を巻いた円座に座した姿「綱敷天神像」。本図は、禅の高僧・惟肖得巌(いしょうとくがん)(1360〜1437)が京都から周防(すおう)に帰国する守護大名・大内盛見(おおうちもりみ)(1377〜1431)に餞(はなむけ)として贈った秘蔵の天神画像である。

信仰のひろがり映す天神さま - 類い希なる天神画像

束帯天神像

束帯天神像
絹本著色 桃山時代・17世紀 大阪・大阪天満宮所蔵

束帯天神像
絹本著色 桃山時代・17世紀 大阪・大阪天満宮所蔵

怒りの形相をみせる束帯天神の立像と思いきや、片手に渡唐天神の特徴である梅の枝を持つ。天神信仰の多様性をよく表した、他に例を見ない稀少な天神像である。

「天神」地名のルーツは水鏡天神 - 神木「飛梅」で作った渡唐天神

渡唐天神立像

渡唐天神立像(ととうてんじんりゅうぞう) 正慶(しょうけい)
木造彩色 江戸時代・享保元年(1726) 福岡・水鏡天満宮所蔵

渡唐天神立像(ととうてんじんりゅうぞう) 正慶(しょうけい)
木造彩色 江戸時代・享保元年(1726) 福岡・水鏡天満宮所蔵

天神さまが一夜の内に中国へ渡り、高名な禅僧・無準師範(ぶじゅんしばん)に師事し禅の教えを修めて帰ってきたという渡唐天神の彫像。その際に無準師範からもらった衣を安置した場所が、太宰府天満宮の隣にある光明寺(こうみょうじ)である。この像は、太宰府天満宮の神木である「飛梅(とびうめ)」の古木で作り、水鏡天満宮に奉納されたものである。九州一の商業地「天神」の名はこの水鏡天満宮に由来している。

観音様は命の恩人 - 伝菅公御自作の観音像

十一面観音菩薩立像

国宝 十一面観音菩薩立像(じゅういちめんかんのんぼさつりゅうぞう)
木造 平安時代・9世紀 大阪・道明寺所蔵

国宝 十一面観音菩薩立像(じゅういちめんかんのんぼさつりゅうぞう)
木造 平安時代・9世紀 大阪・道明寺所蔵

大阪府藤井寺市に所在する道明寺の本尊で菅原道真公自作の観音像との伝承を有する。道明寺は、菅原氏の祖先である土師氏(はじし)の氏寺として飛鳥時代に創建された寺である。同寺の縁起には、道真が三尺の観音像を制作し、その叔母である覚寿尼(かくじゅに)に与えたとする説話を伝える。道真は幼い時、母の願かけで命を救われたことから観音様を深く信仰しており、天神さまの本地仏(ほんじぶつ)が十一面観音とされたのはそのことに由来するともいわれる。本像は、当時の中国彫刻の強い影響を受けた9世紀木彫像の優作である。

天神さまに捧げられた宝塔 - 平安後期を代表する宝塔

金銅宝塔

重要文化財 金銅宝塔(こんどうほうとう)
銅製鍍金 平安時代・承安2年(1172) 山口・防府天満宮所蔵

重要文化財 金銅宝塔(こんどうほうとう)
銅製鍍金 平安時代・承安2年(1172) 山口・防府天満宮所蔵

周防国(現山口県)の国務を奉行した藤原季助(ふじわらときすけ)が、後白河法皇(ごしらかわほうおう)の長寿と後生善所(ごしょうぜんしょ)(来世で極楽浄土(ごくらくじょうど)に生まれること)、子孫繁昌、国土豊饒などを願って松崎天神(まつざきてんじん)に奉納した宝塔。天神への祈願を込めた奉納品最古の作例として知られる。天神さまは人々を極楽浄土に導く神としても信仰された。

第三章 天神さまの芸能とまつり

 天神信仰は江戸時代以降、菅原道真を主題とした人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)・歌舞伎(かぶき)などの流行や寺子屋(てらこや)での天神崇敬により、庶民の間に浸透していった。天満宮の門前は参詣する人々で満ち、芸能やまつりの場として大いに賑わった。天満宮のまつりは、今も門前の人々をはじめ、天神さまを信仰する人々により大切に守り伝えられている。 太宰府をはじめとした天満宮の祭礼絵巻や古面を通じて、鬼すべや神幸式(じんこうしき)などの伝統的な祭事を紹介するとともに、浮世絵の名品により「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)」をはじめ天神さまゆかりの芸能を紹介する。

主な作品

浄瑠璃・歌舞伎の主人公に - 国貞 浮世絵の名品

菅原伝授手習鑑

菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ) 車引(くるまびき)
歌川国貞(うたがわくにさだ)筆 錦絵 江戸時代・嘉永3年(1850) 神奈川・常盤山文庫所蔵

菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ) 車引(くるまびき)
歌川国貞(うたがわくにさだ)筆 錦絵 江戸時代・嘉永3年(1850) 神奈川・常盤山文庫所蔵

道真への尊敬と信仰から道真の伝記をもとに生まれた名作『菅原伝授手習鑑』。延享三年(1746)に人形浄瑠璃(じょうるり)として初演され大きな反響を呼び、『仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)』『義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)』と並んで三大名作といわれる。本図は歌舞伎の荒事を代表する「車引」の名場面であり、牛車の上で威勢を張る時平(しへい)が描かれている。庶民の天神信仰の高まりを背景に人気を博し、歌舞伎(かぶき)の定番として今日まで上演され続けている。この他に歌川豊国(うたがわとよくに)・葛飾北斎(かつしかほくさい)らによる浮世絵の名品も出展される。

受け継がれる天神さまのまつり - 色彩ゆたかな祭礼絵巻

筑前太宰府鷽替追儺図巻

筑前太宰府鷽替追儺図巻(ちくぜんだざいふうそかえついなずかん)
斎藤秋圃(さいとうしゅうほ)筆 絹本著色 江戸時代・嘉永6年(1853) 福岡・福岡市博物館所蔵

筑前太宰府鷽替追儺図巻(ちくぜんだざいふうそかえついなずかん)
斎藤秋圃(さいとうしゅうほ)筆 絹本著色 江戸時代・嘉永6年(1853) 福岡・福岡市博物館所蔵

毎年正月7日に太宰府天満宮で行われる鷽替(うそかえ)と追儺(ついな)を描いた絵巻。鷽替の場面からは人々が木鷽を交換しあういきいきとした様子がうかがえる。鷽替の起源ははっきりとしないが、鷽は天神様のお使い鳥とされ、木鷽を換えあうことによって、嘘を天神様の誠に変えていただこうという意味があるとも言われている。鷽替の後に行われる追儺は「鬼すべ」と言われ、鬼を燻べることで災いを除去し、新年の招福を祈る行事である。このほかに太宰府天満宮の神幸式の様子を描いた絵巻「御神幸式絵巻」も出品される。

太宰府天満宮の至宝 - 現存唯一の古写本

翰苑

国宝 翰苑(かんえん) 巻第三十
紙本墨書 平安時代・10世紀 福岡・太宰府天満宮所蔵

国宝 翰苑(かんえん) 巻第三十
紙本墨書 平安時代・10世紀 福岡・太宰府天満宮所蔵

中国唐(とう)の顕慶五年(660)に張楚金(ちょうそきん)が撰述し、雍公叡(ようこうえい)が注を加えた類書の古写本。中国では早い時期に散逸して伝わっておらず、世界において現存唯一の古写本である。伝存する巻第三十には、倭国(わこく)のほか、新羅(しらぎ)・百済(くだら)・高麗(こうらい)など、中国周辺の諸民族の地理や歴史を記す。倭国条には、金印や邪馬台国(やまたいこく)に関わる記述がみえることから、古くより注目されてきた。道真が生きた9〜10世紀の日本における漢籍受容の実態を伝える貴重な資料である。