再開館にあたっての館長ご挨拶

 みなさまこんにちは。九州国立博物館長の島谷です。

 全世界を襲った新型コロナウイルス感染症による影響のため、当館も2月27日(木)より臨時休館を続けてきましたが、6月2日(火)より再開館しました。皆様の健康を守るため、感染防止対策を実施しながらの開館となりますが、ご協力いただけますようよろしくお願いいたします。

 今年度に予定していた展覧会のうち、いくつかが変更を余儀なくされました。春の特別展「ライデン国立古代博物館所蔵古代エジプト展」は中止となり、夏の特別展「海幸山幸-祈りと恵みの風景-」は、来年度への延期を決定しました。開館から15周年を迎えた九博にとっても、春、夏の特別展を開催しないのは初めてのことになります。

 こうした状況ですが、文化交流展示では開館15周年にふさわしい充実した企画をお楽しみいただけます。特集展示「きゅーはく どうぶつえん」は、作品を借用した関東や関西の博物館、美術館などのご協力を得て、会期を7月12日(日)までと変更して実施いたします。十二支や吉祥、神話の世界といった実在・空想上のさまざまな動物たちがたくさん集まり、とても楽しい空間ができあがりました。わたしたちの身の回りに、こんなにもたくさんの動物がいて、心をなごませ、ともに暮らし、時に恐れ、まつられていたことに気付かれることでしょう。研究員の工夫で、展示の説明文も通常とはひと味違っています。ぜひご家族でお楽しみ下さい。

 もうひとつの特集展示「大宰府史跡指定100年記念 筑紫の神と仏」は、予定通り8月30日(日)まで開催いたします。この展示では、当館が開館以来取り組んできた大宰府学の研究成果をご覧いただきます。遠の朝廷としての大宰府の重要性、国際色豊かな交流を示すとともに、「天然痘」などが猛威をふるった世の中で古代の人々が神仏に捧げた祈りを読み解きます。展示室では、観世音寺の国宝の鐘の音がおごそかに鳴り響きます。 再開後の九博のいちオシは「文化交流展示」です。

 皆様にとって、博物館で過ごすひとときが安らぎや憩いの場となれば幸いです。

島谷弘幸[九州国立博物館長]