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ICOM-ASPAC 日本会議2018

ICOM-ASPAC 日本会議2018

太宰府宣言

2018年12月2日
九州国立博物館

前文

人的活動により気候の変動が起こっており、地球規模で自然遺産、有形・無形文化遺産へ の被害が多発していることを認識し、

ICOM の倫理規程にある、災害に対する防御において博物館が果たす役割を強調する根本 方針を支持し、

2015 年に採択された UNESCO の「ミュージアムと収蔵品の保存活用、その多様性と社会 における役割に関する勧告」を再度支持し、 持続可能な開発目標(SDGs)のための「持続可能な開発のための 2030 国連アジェンダ」 の促進を承認し、

2018年12月1~2日、九州国立博物館(日本福岡県太宰府市)で開催された ICOM- ASPAC の参加者は、下記のとおり宣言する。

1.津波、地震、洪水、火山の噴火、火災などの自然災害や人為的災害から文化遺産を保 護することは、アジア太平洋地域の大きな懸念事項の 1 つである。この点において、博 物館は、収蔵品や文化遺産を災害から守り、予防、救出、および将来にわたって持続可 能な管理をするために必要な措置を提供することにおいて、積極的な役割を果たすこと ができる。さらに博物館は、文化遺産の安全を確保する場所を提供し、被災した社会の 負担を軽減する。

2.自然災害や人為的災害から有形・無形文化遺産を保護するために、博物館は適切な伝 統的方法や技術革新を活用し、予防措置のための学際的アプローチを取ることを奨励す る。また、博物館は、関連するすべての機関との協力を通じ、これまでの経験に基づく 知識を共有する積極的な取り組みを行う。

3.博物館は、自然災害や人為的災害の際の予防と救出を効果的に行うため、専門家と社 会を教育するための積極的な取り組みを行う。博物館は、職員が適切な技術を身につけ る機会を提供する。さらに博物館は、関連するコミュニティに手を差し伸べ、災害リス ク軽減のための意識を高め、持続可能な未来を再構築する。

4.ICOM-ASPAC の博物館は、地域、国内、国際レベルでの災害リスク管理に関する専 門知識と最善の手法の共有を促進するネットワークを強化する。ICOM-ASPAC は、議 論をさらに進め、ICOM 京都大会 2019 における ASPAC 総会で注意を喚起する。

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会期:
2018年12月1日(土)・2日(日)
会場:
九州国立博物館
参加費:
無料


【開催について】
ICOM-ASPAC(InternationalCouncilofMuseumsAsia-PacificAlliance:国際博物館会議アジア太平洋地域連盟)は、アジア太平洋地域のICOM加盟国(20か国)間の情報交換、交流推進を目的として設立された組織で、例年年次会合に合わせて、広く開催国の方々に参加いただけるシンポジウムを開催しています。本年度のシンポジウムでは、<自然災害により被災した文化財の保護に博物館が果たす役割>をメインテーマに、各国専門家による事例報告、パネルディスカッションなどを行うこととしています。
日本では10年ぶりに開催される本シンポジウムは、アジア太平洋地域の博物館関係者と直に交流できる絶好の機会です。国内の博物館関係者、博物館に関心をお持ちの皆様の参加をお待ちしています。

【スケジュール】
12月1日(土)
ASPAC 開会式[13時30分〜]
・主催者挨拶
Bae Kidong(ICOM-ASPAC 委員長、大韓民国国立中央博物館長)
島谷弘幸(ICOM-ASPAC 日本会議 2018 実行委員会委員長、九州国立博物館長)
・来賓挨拶
Suay Aksoy(ICOM 会長)
原田義昭(環境大臣)
豊城浩行(文化庁文化財鑑査官)
小川 洋(福岡県知事)
・来賓祝辞・紹介
「世界津波の日」の制定経緯とこれまでの活動、今後の展望
福井 照(衆議院議員)

第1部 基調講演 [14時20分〜]
「日本の文化財防災について」
豊城浩行(文化庁文化財鑑査官)
「韓国の文化財防災」
Choi Jong—Deok(韓国国立文化財研究所長)

休憩 [15時20分〜]

第2部 「世界津波博物館会議」成果報告 [15時30分〜]
モデレーター:小野裕一(東北大学教授)
「世界津波博物館会議の趣旨と意義」
松岡由季(国連国際防災戦略事務局(UNISDR)駐日事務所代表)
世界津波博物館会議報告
小野裕一(東北大学教授)
「津波の記録と記憶を風化させないためどう活動すべきか」
西博義(稲むらの火の館名誉館長)
「津波の恐怖を次世代にどう伝えるべきか」
Hafnidar(アチェ州政府文化・観光局 津波博物館長兼歴史部長)
「地震に関わる特別な資源を利用し、防災のための新たな方法を探る」
馮正碧(5.12 汶川特大地震記念館)
総合討論
Ricardo Toro Tassara(チリ内務公安省国家緊急対策室(ONEMI)長官)
および第2部講演者

閉会[16時55分〜]
・閉会挨拶
佐々木丞平(ICOM京都大会2019組織委員会委員長、京都国立博物館長)

12月2日(日)
開会[10時00分〜]
・閉会挨拶
An,Laishun(ICOM副会長)
・ICOM-ASPAC及びICOM京都大会2019説明
栗原祐司(ICOM京都大会2019運営委員会委員長、ICOM-ASPAC 副委員長)
・ICOM-DRMC 活動報告
Samuel Franco Arce(ICOM-LAC 委員長)

研究発表I [10時45分〜]
「文化遺産と災害リスクの低減」
Richard Japuneyo Shing(バヌアツ文化センター所長)
「ネパールにおける文化遺産の盗難について」
Prem Singh Basnyat(ネパール博物館協会)
「ブータン王国における博物館及び修復活動の現状」
岩田侑利子(前ブータン王国仏教美術・文化保存修復所 所長代理)

総合討論 [11時30分〜]
モデレーター:益田兼房(ICOMOS-ICORP 委員、立命館大学教授)
パネリスト:研究発表Iの発表者

休憩 [12時00分〜]

研究発表II [13時30分〜]
「震災と博物館行動—近年の国立台湾歴史博物館と国立歴史民俗博物館を事例として」
陳 怡宏(国立台湾歴史博物館研究組副研究員)
西谷 大(国立歴史民俗博物館副館長)
「自然災害への対応マニュアルと韓国の国立博物館の現在の情勢について」
朴 榮國(国立ハングル博物館長)
「日本の文化財防災ネットワーク推進事業の取り組みについて」
岡田健(国立文化財機構文化財防災ネットワーク推進室長)
「日本における文化財レスキューの現状」
髙妻洋成(奈良文化財研究所埋蔵文化財センター長)

休憩 [14時45分〜]

総合討論[15時00分〜]
モデレーター:小泉惠英(九州国立博物館学芸部長)
パネリスト:研究発表IIの発表者

閉会式 [16時00分〜]
・総括
栗原 祐司(ICOM京都大会2019運営委員会委員長、ICOM-ASPAC副委員長)
・太宰府宣言
BaeKidong(ICOM-ASPAC委員長)
・閉会挨拶
銭谷眞美(日本博物館協会長、ICOM京都大会2019組織委員会副委員長)
*スケジュールは変更する場合がございます。

主催:
ICOM-ASPAC、ICOM京都大会組織委員会、ICOM日本委員会、公益財団法人日本博物館協会、独立行政法人国立文化財機構、九州国立博物館・福岡県
お問い合わせ先:
ICOM-ASPAC 日本会議2018実行委員会事務局(九州国立博物館総務課内)
092-918-2818(平日9時30分~17時00分、土日祝休み)
FAx 092-918-2810
E-mail:aspac2018@kyuhaku.jp
※ICOM-ASPAC については こちらをご覧ください。