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トピック展示「館蔵水墨画名品展」ミュージアム・トーク開催

10月4日(火)4階文化交流展示室にて開催中のトピック展示「館蔵水墨画名品展」のミュージアム・トークが行われました。15時には、50名を超える方々が集まり、会場はもういっぱいに。

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一見華やかではない、モノクロの水墨画。
“水墨画の鑑賞の要点は「筆」と「墨」”と、解説の畑靖紀主任研究員。

この用具と画材を意味する二つの文字は、絵画を評論するときに「線」と「面」のことを意味してきたそうです。優れた水墨画では、筆(線)はたんに輪郭線になるだけでなく、内側の骨格や質感をも表現しており、墨(面)には単に表面を塗り込めるだけでなく、微妙な立体感や明暗のトーンを捉えているとのこと。
この要点を抑えて作品を鑑賞してみましょう。

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まずは「白衣観音図」(鏡堂覚円賛)。観音さまの衣を描く線のなかに、2本だけ髪の毛を描く線が隠されています。その謎解きに、集まった方々から驚きの声。 衣と髪で線の質感を変えているのがポイントです。

次は、重要文化財「布袋図」(伝牧谿筆、簡翁居敬賛)です。
目の隈、髭、髪の毛などが、じつは細い線を何度も重ねて描かれているので、柔らかな質感が出ているとのこと。丸顔の表情も豊かです。
こんなに間近に展示されることは滅多にないそうなので、ガラスに近寄ってじっくりとご覧ください。

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そして大迫力の「葡萄図屏風」(李蔭庭筆)。
駆け抜けるように伸びる葡萄が印象的です。画面を埋め尽くす葉と果実の部分には、輪郭線がないそうです。墨の面だけで描かれ、葉と葉が重なる場所では縁取りを塗り残すという高度なテクニックが使われています。

他にも優品をたくさん展示しています。これだけ揃うとかなりの圧巻。

2回目のミュージアムトークは、10月18日(火)15時からです。
今回解説した内容とは別の見どころを解説します。4日に参加いただいた方もまた、来てくださいね。

水墨画に焦点をあてた初めての企画です。この機会をお見逃しなく!