博物館からのお知らせ

九州国立博物館 オープニング
祝 辞




中国国家文物局長 

 九州国立博物館の完成・開館にあたり、中国文物博物館界(各専門分野)を代表し、ここに心からお祝いの言葉を述べたいと思います。
 九州国立博物館は、東京、京都、奈良に次いで設立された四番目の国立博物館です。古代から、九州はアジア各国、特に中国との文化交流の重要な窓口の役割を果たしてきました。「日本文化の形成をアジア史的観点から捉える」という基本理念のもとに、アジア各国との文化交流を推進するという九州国立博物館の趣旨に深く同意するとともに、賞賛の意を表したいと思います。開館にあたり、中国国家文物局は“てん王之印”金印、“広陵王璽”金印、司馬金龍墓漆屏風、井真成墓誌、楊会墓石棺など、貴重な文物七点を九州国立博物館開館記念特別展に展示することを承認し、祝福の意を示すことにしました。
 九州国立博物館の事業が今後ますます発展し、深く広い研究を展開されるとともに、中日両国文物博物館界との交流において重要な役割を果たすことを心から期待しております。

韓国国立中央博物館長 李建茂

 はじめに、九州国立博物館の開館を心からお慶び申し上げます。九州は古くからアジアの文化交流において重要な役割を果たした地域であり、特に韓国との文化交流が最も盛んに行われた地域であります。また、受け入れた文化を日本各地に伝えてきた「文化集散地」のような地域でもあります。このような歴史を持つ場所に九州国立博物館を設立したい、という長きにわたる希望が実現しました。今後、九州国立博物館がアジア各地域との交流の歴史を紹介するとともに、相互理解を深める場所として活躍することを期待したいと思います。「韓国国立中央博物館」との活発な交流が行われますことを祈念いたします。





故宮博物院長 石守謙

 古代から現代に至るまで、アジアは常にダイナミックな交流と相互影響に彩られ、成長してきました。こうした歴史の中で、アジアは多様で豊かな文化を生み出してきたのです。今日、我々はアジア文明の遺産を受け継ぎ、世界や時代との対話の中でさらに豊かな文化を育んでいます。つまり、アジアを知り、理解することは、我々の文化の系譜を知ることそのものであり、同時に自分 自身を理解することでもあるのです。
 九州国立博物館の設立は、我々がアジアに対する理解と認識を深める上で意義深く、素晴らしい機会となるでしょう。また、かつて日本の貿易の窓口であった九州を場所として選んだことは、今後、より一層意義を増していくものと考えます。アジアへの認識に新たな視野を開くとともに、多彩な文化遺産の独特の風格と美しさをより広く、深く洞察できるよう、九州国立博物館が振興役を果たしていくことを期待しています。

九州国立博物館と世界との交流への期待
ボン大学教授・日本文化研究所長 ヨーゼフ・クライナー

 九州国立博物館は、日本の4つ目の国立博物館として、九州のみならず日本全体を代表する文化機関として活躍すると同時に、独自のアイデンティティを是非とも確立してほしいと思います。
 九州に国立博物館を設ける運動について初めて耳にしたのは昭和43年の晩秋、阿蘇地域の歴史や文化の総合調査の時でした。日本の歴史の中における九州の役割は大きく、沖縄とともに日本文化の担い手でもあります。
 九博は既に、国際色と地方色を持ち合わせたユニークな基礎を培っており、また、九州という土地柄は、現在中央から離れてはいますが、世界において古来重要な日本の窓口の役割を果たしてきています。それは、アジア太平洋地域においてのみならず、遠いヨーロッパに対しても同様であり、今その伝統の新たな一歩が踏み出されることを誠によろこばしく思います。





九州国立博物館開館への期待
福岡県知事 麻生渡

 明治32年に岡倉天心が九州に博物館の必要性を説いて以来、九州が待ち望んできた博物館がいよいよ開館します。100年を越えた夢の実現が目前となり、感慨に堪えません。
 グローバル化が進展する中、経済のみならず文化においてもアジア諸地域のとの交流が期待されています。九州国立博物館は、文化・文明の発展過程における相互の役割や影響を研究し、知的な交流を深める上で重要な活動拠点になると思っています。
 今日、東アジアでは、音楽や映画、アニメ、食など共通の若者文化が形成されつつあります。このような文化も発信し、過去にとどまらず現在、未来にわたる新しい文化を積極的に創造してほしいと思います。
 この博物館は、国と地元とが協力して運営していく新しいタイプの博物館です。県民をはじめ多くの人々が博物館の運営に参加し、アジアに誇る博物館を創り上げていきたいと考えています。

九州国立博物館開館への期待
太宰府天満宮宮司 西高辻信良

 私にとりまして、父祖四代にわたる念願でありました九州国立博物館が、いよいよ本年10月16日(日)から一般公開の運びとなりましたことは誠にめでたく、意義深いことであります。
 これまで九州というのは文化をストックすることが大変下手な地域でしたが、初めて文化をストックする場所ができました。それがまさに九博だと思います。その意味では、文化的なセンターとして九博が大きな役割を果たしてくれると確信いたしております。
 とくに九博と天満宮を最短距離の直線で結ぶトンネル(動く歩道)、斜面には「屋根付きのエスカレーター」と階段が設置され、天満宮側入り口には「ステーション」が整備されています。同じ敷地内の天満宮を参拝される方々が一人でも多く九博へ足を運んで下さるよう、また、九博を訪れた方々が天満宮に参拝されるよう大いに期待いたしております。
 その為にどのような対策、対応が必要なのか、相互に連携をとりながら新しい形の博物館を中心とした「見る」から「感じる」古都太宰府の形成を考えていきたいと思います。