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九博フォトアルバム「寒糊炊き」

 九州国立博物館の文化財保存修復施設では、文化財の修理に使う「古糊(ふるのり)」を一年に一度、大寒の頃に作ります。古糊とは、小麦のでんぷんと精製水を炊きあげて作った糊を甕に移して10年以上暗所に保管し、微生物の働きでじっくりと熟成させたもので、主に掛け軸などの裏打ち紙を張り合わせる際に使われます。この古糊づくりは、毎年雑菌の少ない寒い時期に作られるので「寒糊炊き」と呼ばれます。
 寒糊炊きは、年に一度、九博で働く人達が、文化財保存修復施設に集まる恒例行事となっており、今年は1月23日(金)に実施しています。

「寒糊炊き」

【古糊と新糊】

「寒糊炊き」

水で小麦のデンプンを溶いた後、加熱します。

「寒糊炊き」

焦げつかないように、約50分間混ぜ続けます。一人でまわすと力尽きてしまうので、途中で交代していきます。当日は、九博職員をはじめ、ボランティアや清掃など館で働く人たちが参加します。

「寒糊炊き」

50〜60分後、甕(かめ)に移します。

「寒糊炊き」

最初は液体だったデンプンが、ドロドロの糊状になっています。甕1つ分の糊を作るので、根気強くこの工程を続けます。

「寒糊炊き」

9分目まで入れたら出来上がりです。完全に冷えた後、水を張り封をして、冷暗所にて保管します。

「寒糊炊き」

参加者は、和紙に氏名を記入します。記入後の和紙は甕に貼り付けます。

「寒糊炊き」

昨年つくった糊です。表面にはカビが繁殖しています。

「寒糊炊き」

表面のカビを取り除き、再び、冷暗所にて保管します。