過去の展示情報
田中丸コレクションの肥前磁器
展示期間:
平成23年1月19日(水)〜3月27日(日)
展示場所:
文化交流展示室 関連第9室
概要:
田中丸善八氏(1894〜1973)の収集による田中丸コレクションは、九州陶磁のコレクションとして日本有数のものとされています。今回はその優品の中から、肥前の磁器をご紹介いたします。初期の伊万里の染付から、柿右衛門、金襴手など多彩な美の伊万里、そして完璧な技と洗練のデザインの鍋島。奥深い磁器の世界をご堪能ください。
色絵蕎麦畑図大皿(いろえそばばたけずおおざら) 鍋島 鍋島の木盃形皿は、一尺、七寸、五寸、三寸と定型化されていた。尺皿と言う一尺の大皿は特に評価が高い。地の濃み染めと白抜きの蕎麦の花が印象的である。 |
青磁染付波に水車図皿(せいじそめつけなみにすいしゃずさら) 鍋島 作品の多くが木盃形の皿であった鍋島の魅力はデザインにある。円形という限られたキャンバスに、ここでは染付で波濤を描き、皿いっぱいに水車を描く。 |
染付吹墨月兎図皿(そめつけふきずみげっとずさら) 伊万里(有田) 型紙を置き、染付を吹きつけて、型紙の部分を白抜きで表すのは吹墨という中国の古染付にある技。これを使い白兎と雲間の月が見事に表現されている。 |
色絵桃文八角鉢(いろえもももんはっかくばち) 伊万里(有田)柿右衛門様式 鮮やかな色絵が映える濁手と呼ばれる乳白色の素地と、型を使った造形とは柿右衛門窯が得意とした技。主題となっている桃は中国では不老不死を意味する。 |
色絵赤玉雲龍文鉢(いろえあかだまうんりゅうもんばち) 伊万里(有田) 国内向け金襴手で、特に珍重された型物の代表格がこの鉢。濃厚な染付、強烈な赤、華やかな金彩は絢爛豪華。底部には「大明万暦年製」という銘がある。 |
担当研究員のコメント
日本有数の九州陶磁コレクションである田中丸コレクションから、柿右衛門、金襴手、鍋島といった肥前磁器をご紹介いたします。時代によって、あるいは受け手にあわせ様々な表情を見せてくれる肥前磁器、稀代のコレクター田中丸善八氏の眼が選び出した素晴らしさをお楽しみください。
伊藤嘉章(学芸部長)