過去の展示情報

トピック展示 :

巨大掛軸をめぐる文化交流 〜祈りと暮らしのかたち〜


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展示期間:

平成22年2月21日(日)〜3月28日(日)

展示場所:

文化交流展示室 関連第第9室およびエントランスホール

概要:

 九州国立博物館文化財保存修復施設では、平成20年・21年にかけて佐賀市の補助事業として、佐賀市重要文化財高伝寺所蔵大涅槃図の修理を行いました。この涅槃図は縦15.2m、横6.1mという巨大なものです。
 現在の日本では、これほど巨大な掛軸(仏画)を用いることはあまり多くありませんが、韓国では境内に巨大な掛軸(仏画)を掛ける法要がよく行われています。このような巨大な仏画を用いる仏教行事は、チベットのタンカなどにもみられ、仏教の源流をたどる上でも興味深い事例です。
 さらに肖像画と屏風について、そのかたち、用いられ方も比較しながら、祈りと暮らしのかたちをめぐる文化交流について、展示作品・映像番組・シンポジウムを通じてご紹介いたします。

主な展示品:

主な展示作品
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展示作品の紹介
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大涅槃図

大涅槃図 国内最大級の涅槃図
縦15.2m 横6.1m
江戸時代・宝永3年(1706)
佐賀市・高伝寺所蔵

大涅槃図

大涅槃図(部分)
縦15.2m 横6.1m
江戸時代・宝永3年(1706)
佐賀市・高伝寺所蔵

大涅槃図 国内最大級の涅槃図
縦15.2m 横6.1m
江戸時代・宝永3年(1706)
佐賀市・高伝寺所蔵

*3月13日(土)・14日(日)の2日間のみエントランスホールにて展示します。

涅槃図は釈迦入滅の情景を描いたもので、古来より寺院の涅槃会で本尊として祀られてきました。
高伝寺所蔵大涅槃図は、佐賀藩第三代藩主・鍋島綱茂(1652〜1706)の命により、京都・東福寺に伝来する応永15年(1408)画僧・明兆(みんちょう)の落款がある大涅槃図を写したものです。東福寺の大涅槃図も縦横約9×6メートルという大きなものですが、写す過程でさらに大きくなったようです。

大涅槃図 修理風景

大涅槃図 修理風景

大涅槃図 修理風景

会期中は、平成20・21年度に行われた修理の経過を映像で紹介します。

掛仏齋の様子

掛仏齋の様子

掛仏齋の様子

韓国全羅南道海南郡 美黄寺(ミファンサ)掛仏(クェブル)
境内に巨大な掛仏を掛ける掛仏齋(クェブルチェ)の様子を映像で紹介します。

牡丹図屏風

牡丹図屏風

牡丹図屏風

牡丹は富貴を象徴し、朝鮮時代の宮廷で広く儀礼に使用されていました。
この屏風は、縦長の画面の上下に幅広のきれをつけ、一扇ずつ縁取りをし、下部には短い脚をつけるなど、朝鮮時代の屏風の特徴をよく備えています。

柳舜翼肖像

柳舜翼肖像

柳舜翼肖像

先祖の肖像画は、各家で先祖そのもののようにして大切に崇め、守られてきました。
柳舜翼(ユ・スニク)は朝鮮中期の文臣で、1623年、光海君から王位を簒奪した仁祖反正のときに功がありました。描かれた人物の姿やユソという飾り紐を画面に垂らすかたちなど、朝鮮時代肖像画の姿をよく伝えています。

関連イベント

国際シンポジウム 巨大掛軸をめぐる文化交流 ―日本と韓国―

開催日  3月14日(日)
場 所  九州国立博物館ミュージアムホール
内 容  韓国から巨大掛軸の文化史や修復に携わる一線の研究者を招き、日本の研究者と共に巨大掛軸をめぐる文化交流について講演、討論を行います。

担当研究員のコメント

 お隣りどうしの国、日本と韓国では、掛軸や屏風といったかたちに絵を仕立て、祈りや暮らしのなかで用いてきました。一見、よく似たかたちですが、文化の違いや特徴がそれぞれのかたちに表れています。
 両国の巨大掛軸については、会場内の迫力ある大画面映像で紹介いたします。
 高伝寺の長さ15mを超える大涅槃図は、2日間だけエントランスホールに展示します。同時期に開催される国際シンポジウムとあわせて、ぜひご来館ください。

藤田励夫(博物館科学課)


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