過去の展示情報
ベトナムの陶磁
展示期間:
平成22年1月1日(金・祝)〜2月14日(日)
展示場所:
文化交流展示室 関連第9室
概要:
アジアの国々には、それぞれの国に独特の陶磁の文化があります。その一方で、日本の陶磁が中国や韓国の陶磁の影響を受けながら発展したように、国境を越えた大きな交流の中で新しい陶磁が作られてきました。
今回ご紹介するベトナムも、アジアの中で陶磁の盛んな国のひとつです。ベトナムは長い歴史の中で、中国陶磁の影響を波のように受け止めながら、独特の世界を作り上げてきました。
ベトナムの陶磁は1〜3世紀頃に中国後漢代の灰釉陶の影響を受けて始まります。器種の中には中国漢代の銅器の影響が色濃く見えるものもあります。
11世紀、李王朝によってベトナムの独立を迎え、ベトナム陶磁は新たな歴史を踏み出していきました。13世紀から14世紀にかけての陳王朝の時代には、白磁、青磁、褐釉、白釉褐彩に加えて、緑釉、鉄釉も生れてベトナム陶磁としての独特の世界が作られています。14世紀には既にこの太宰府の地にもベトナムの鉄絵がもたらされています。
15世紀には中国から青花、五彩の技術も伝わり、黎王朝の時代にはベトナム陶磁の最盛期を迎えています。17世紀には日本から青花の注文も行われており、これらのベトナム陶磁は江戸時代には「安南」の名で親しまれてきました。
今回の展示では、草創期から17〜18世紀の作品から、ベトナムの陶磁の豊かな流れをご覧ください。
担当研究員のコメント
ベトナム陶磁は1〜3世紀に中国陶磁の強い影響を受けて始まります。
その草創期、そして独特の作風を展開していく11世紀以降から17〜18世紀の作品まで、日本へもたらされたものの類品も含めてご紹介いたします。
伊藤嘉章(学芸部長)