過去の展示情報

トピック展示 :

祈りの山 宝満山
Hōmanzan: Sacred Mountain

展示期間:

平成21年11月13日(金)〜12月20日(日)

展示場所:

文化交流展示室 関連第9室

主催:

財団法人太宰府顕彰会・九州国立博物館

概要:

 宝満山(ほうまんざん)は、御笠)山(みかさやま)、竈門山(かまどやま)とも呼ばれた古来よりの霊山です。天武天皇(てんむてんのう)3年(674)、玉依姫命(たまよりひめのみこと)が心蓮上人(しんれんしょうにん)に現れて竈門神社が創建されたと伝えられ、大宰府の鬼門の方角(北東)を護る神、農業の神、国土を守る神の坐す山として信仰を集めてきました。
 この度のトピック展示では、神話伝承のなかの宝満山、律令国家における宝満山の祭祀、最澄(さいちょう)・円仁(えんにん)・円珍(えんちん)など入唐僧(にっとうそう)の祈り、山岳寺院としての繁栄、修験の山としての宝満山など、その歴史と文化を宝満山の地宝や竈門神社の宝物を通じてたどります。

出品目録:

主な展示作品
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展示作品の紹介
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竈門三神坐像

竈門三神坐像(かまどさんしんざぞう)
桃山時代・16世紀
福岡県・竈門神社

竈門三神坐像(かまどさんしんざぞう)
桃山時代・16世紀
福岡県・竈門神社

宝満山の神である竈門神社の祭神、玉依姫命・神功皇后・応神天皇の坐像。小像ながら、顔立ちは端整であり、装束も簡素かつ丁寧に表現する。像の形式や作風から、慶長2年(1597)、小早川隆景による社殿復興時の制作とみてよい。

獅子・狛犬

福岡県指定文化財 獅子・狛犬
室町時代・15世紀
福岡県・竈門神社蔵

福岡県指定文化財 獅子・狛犬
室町時代・15世紀
福岡県・竈門神社蔵

吽形像の頭上に一角を取り付けていた痕跡があることから、阿形を獅子、吽形を狛犬としていたことが判る。作者とおおよその制作年が判明する獅子狛犬の作例として貴重である。

竈門山宝満大菩薩記

竈門山宝満大菩薩記(かまどさんほうまんだいぼさつき)
鎌倉時代・13〜14世紀
神奈川県・称名寺

竈門山宝満大菩薩記(かまどさんほうまんだいぼさつき)
鎌倉時代・13〜14世紀
神奈川県・称名寺

竈門神社最古の縁起。神功皇后の三韓征討における活躍により、宝満山の神が九州の鎮守となったことを述べる。宝満山と八幡宮が密接な関係を持っていたことを記す。

大宰府牒

重要文化財 大宰府牒(だざいふちょう)
平安時代・承平7年(937)
京都府・石清水八幡宮

重要文化財 大宰府牒(だざいふちょう)
平安時代・承平7年(937)
京都府・石清水八幡宮

伝教大師最澄は衆生を救済するために、6基の宝塔を建てようとした。その一つ、宝満山の宝塔は、最澄の死後、承平3年(933)に完成したことが記されている。

褐釉陶双耳付水注

褐釉陶双耳付水注(かつゆうとうそうじつきすいちゅう)
福岡県太宰府市宝満山辛野(九重ヶ原)地区採集
中国北宋〜南宋時代・12〜13世紀
福岡県・妙香庵

褐釉陶双耳付水注(かつゆうとうそうじつきすいちゅう)
福岡県太宰府市宝満山辛野(九重ヶ原)地区採集
中国北宋〜南宋時代・12〜13世紀
福岡県・妙香庵

中国華南方面から輸入された実用的な陶器である。轆轤{ろくろ}整形で丁寧に仕上げ、表面には底部ちかくまで明るい褐色の釉{うわぐすり}をかけている。九州地方でいくつか類例が知られる。

獅子

獅子(しし)
中国明時代カ・15〜16世紀
福岡県・竈門神社

獅子(しし)
中国明時代カ・15〜16世紀
福岡県・竈門神社

この獅子はキクメイシ科サンゴの塊から彫刻された大変珍しいもの。北部九州の神功皇后故地になぜか伝存する、いわゆる「宋風獅子」とは別種の趣がある。中国でも南方の産であろうか。

宝満山絵図

宝満山絵図(東図)(ほうまんざんえず(ひがしず)
江戸時代・17世紀
福岡県立美術館

宝満山絵図(東図)(ほうまんざんえず(ひがしず)
江戸時代・17世紀
福岡県立美術館

宝満山の最も詳細で古い絵図。太宰府市側からみた西図と筑紫野市側からみた東図がある。本作品は東図。山中の記述が詳しく、建物などの位置を知ることができる貴重な史料である。

鎮西竈門山入峯伝記

鎮西竈門山入峯伝記(ちんぜいかまどやまにゅうぶでんき)
江戸時代・天保12年(1841)
福岡県・永福院蔵

鎮西竈門山入峯伝記(ちんぜいかまどやまにゅうぶでんき)
江戸時代・天保12年(1841)
福岡県・永福院蔵

修験道の祖とされる役小角以来の宝満山に入り、修行した人物を年代順に記した記録。文禄3年(1594)あたりからの記録は具体的で、信憑性が高い。

明和四丁亥歳宝満派入峯絵巻

明和四丁亥歳宝満派入峯絵巻(めいわしひのといのとしほうまんはにゅうぶえまき)
江戸時代・明和4年(1767)
福岡県・大佛大圓寺

明和四丁亥歳宝満派入峯絵巻(めいわしひのといのとしほうまんはにゅうぶえまき)
江戸時代・明和4年(1767)
福岡県・大佛大圓寺

山伏が春に宝満山から宗像孔大寺山に駈ける修行の行列を描いた絵巻。参加した山伏の構成・役職・服装を知ることができる。

銅鏡「水鏡」

銅鏡「水鏡」(どうきょう「みずかがみ」)
中国・元時代末期・14世紀
福岡県・竈門神社

銅鏡「水鏡」(どうきょう「みずかがみ」)
中国・元時代末期・14世紀
福岡県・竈門神社

後三条天皇の時代、筑前守藤原経衡が雨乞いのため「雨ふれと祈るしるしの見えたらば水鏡ともおもふべきかな」という歌を添えて、奉納したものが、この水鏡と伝えられる。

担当研究員のコメント

太宰府市の東北にそびえる霊山、宝満山の信仰遺産や竈門神社の宝物がはじめて一堂に会します。はじめて出品される作品が多くを占めますので、どうぞご期待ください。

酒井 芳司(展示課研究員)