展示情報

トピック展示 :
江戸のモダニズム 古武雄〜まぼろしの九州のやきもの〜

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江戸のモダニズム 古武雄〜まぼろしの九州のやきもの〜
展示期間:
平成25年3月19日(火)〜5月26日(日)

展示場所:
文化交流展示室 関連第9・10室

見所:

古武雄って知ってますか?

「古武雄」と言って、それが陶磁器のことであると分かる人がいれば、それは焼き物がかなり好きな方でしょう。九州の方ならば、武雄は温泉地として有名なので、「温泉のある武雄かしら」と想像はつきます。しかし、それに古がつき、しかも読み方は「コダケオ」と濁ります。こうなると、ほとんどの方が分からないでしょう。しかし、分からないのも当然と言えば当然なのです。この「古武雄」という名称は近年生まれたものだからです。「古武雄」は、かつては「二彩唐津」、「武雄唐津」、「弓野」、「二川」などと呼ばれていました。

古武雄という「やきもの」

江戸時代前期(17世紀前半)から19世紀にかけて佐賀県西部で誕生した陶器なのです。しかし、その美術的な価値については正当な評価がなされてきませんでした。近年で東南アジアでも出土し、輸出されていたことが分かり、その重要性が再認識されています。また、その豪快な筆使いの魅力と釉をかけ流しただけの斬新な文様が、現代アートにも通ずると再評価され、「古武雄」の名前が新たに付けられたのです。

多彩な文様

古唐津が鉄絵、朝鮮唐津など基本的にはモノトーンの作品で人気を博したやきものならば、古武雄は、多彩な文様表現に魅力があります。古武雄の作品で基本的におこなわれる装飾技法の基本は、褐色の胎土の上を白く塗ることに大きな進歩がありました。この白いキャンパスを得られたことにより褐色の胎土という、絵付けにはある意味で言えば不利な条件を克服し、新たな文様表現の土台を得ました。そして、そこに緑や褐色で絵を描いたり(鉄絵緑彩)、緑や褐色の釉をかけ流して文様にしたり(緑褐釉・彩)、スタンプで文様を押し、その部分に白い土を埋める象嵌、白い土を刷毛で打ち付ける文様(打ち刷毛目)などなど多彩な文様が生み出されました。このような多彩な文様こそ「古武雄」の見所です。

古武雄の優品が集結

このたびその「古武雄」の優品65点を厳選し、その美しさをあますところなくご紹介いたします。豪快な文様などその魅力にあふれた作品をご覧いただき、多くの人々に「古武雄」の魅力を再発見していただければ幸いです。

主な展示作品
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鉄絵緑彩松樹文大平鉢

鉄絵緑彩松樹文大平鉢
(てつえりょくさいしょうじゅもんおおひらばち)

鉄絵緑彩松樹文大平鉢
(てつえりょくさいしょうじゅもんおおひらばち)
江戸時代・17世紀前半 肥前・武雄
(口径49.2 高さ17.0 底径14.2)

緑釉唐花唐草文五耳壺

緑釉唐花唐草文五耳壺
(りょくゆうからはなからくさもんごじこ)

緑釉唐花唐草文五耳壺
(りょくゆうからはなからくさもんごじこ)
江戸時代・17世紀中頃 肥前・武雄
(口径15.9 高さ37.2 底径17.0)

関連催事

特別講演会「古武雄の美と魅力について」

中島青磁と呼ばれ、評価の高い作品を作り続ける重要無形文化財保持者(人間国宝)である中島宏氏は数十年前から「古武雄」を間近で見てきました。西田宏子氏も早くから「古武雄の美」に注目し、展覧会等で紹介してきました。古武雄の美と魅力について中島宏氏、西田宏子氏、当館館長がお話しします。

日時:
平成25年4月20日(土)14:00〜15:30

場所:
九州国立博物館1階ミュージアムホール 先着300名 当日受付 参加無料

講師:
西田宏子(根津美術館副館長兼学芸部長)
中島宏(重要無形文化財保持者)
三輪嘉六(九州国立博物館館長)

ミュージアムトーク

文化交流展示室 関連9・10室内において、担当研究員が展示作品の見どころをお話しします。
ご希望の方は当日、時間までにお集まりください。

日時:
平成25年4月19日(金)・5月10日(金)
15:00〜(30分程度)

聴講料:
無料(ただし文化交流展の観覧料は必要)


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