博物館からのお知らせ

九州国立博物館の所蔵する「奈良三彩壺」が重要文化財に

 九州国立博物館の所蔵する奈良三彩壺が重要文化財に指定されることになりました。3月19日に国の文化審議会文化財分科会で審議、議決され、文化財審議会から文部科学大臣に答申されたものです。後日、官報告示を経て、正式に国の重要文化財に指定されます。
 なお、新たに重要文化財に指定された「奈良三彩壺」は、九州国立博物館4階「文化交流展示室」にて、6月8日(火)から翌23年3月31日(木)まで展示公開の予定です。

展示作品の紹介
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奈良三彩壺

奈良三彩壺(ならさんさいつぼ)
高さ13.7cm 口径12.7cm
胴径21.5cm 高台径13.5cm
奈良時代8世紀

奈良三彩壺(ならさんさいつぼ)
高さ13.7cm 口径12.7cm
胴径21.5cm 高台径13.5cm
奈良時代8世紀

 三彩とは素地に二色以上の色釉を施して800度ほどという陶磁器としては比較的低火度で焼いたもののことです。日本では奈良時代に中国から渡来した唐三彩の影響を受けて始まりました。奈良三彩は全国で300ケ所を越す遺跡から出土していますが、今回重要文化財に指定された壺のように、形がしっかりと残っているものは珍しいことです。
 やや肩の張った胴部に金属器の形状に似た裾広がりの高台がついています。唐三彩と同様の白化粧という技法を使っており、その上から緑、褐、透明の三種の釉薬を掛け、三彩としています。
 奈良三彩壺で現在までしっかりとした形が残っている例は極めて少なく、この作品は、三彩の釉の残りも良い奈良三彩壺の優品であす。白化粧掛けを行っていることから唐三彩との関係を考える上でも重要な作品です。

今後の展示予定

場所:九州国立博物館4階 文化交流展示室 基本展示室第IIIテーマ
期間:平成22年6月8日(火)〜平成23年3月31日(木)

 奈良三彩は中国の唐三彩への憧れから生まれた焼物です。
 この作品は、そうした奈良三彩の中で、壺の形が完全に残り、三彩の釉もよく残っているという貴重な作品です。
 新たな重要文化財として、東京国立博物館でゴールデンウィークにお披露目され、当館では6月に入ってから、文化交流展示室でご覧いただく予定です。
 その際には、唐三彩の壺と並べて展示します。似ている所、違っている所、比べて見ていただくと、楽しみがさらに増すことでしょう。