博物館からのお知らせ

博物館からのご報告:

重要文化財毀損の原因特定と修復施設の復旧について

平成22年2月4日 九州国立博物館

平成21年12月21日に発見された重要文化財「田能村竹田関係資料」毀損事故の原因が空調機器の外気導入(給気ファン)停止によるものと特定できたのでご報告いたします。(なお、現在も建築結露の専門家による詳細な解析を続けております。)

○原因の詳細

当該空調は天井(高さ7m)から湿度のある空気を吹き出し、室内下層の作業空間まで循環させた空気の温湿度が、温湿度センサー(高さ1.5m)で検知しコントロールされるもの。外気導入により室内の人へ新鮮空気を供給。なお、紙の修復作業のため空調の風量を絞っていた。 当時、低温注意の予報があり、外気導入により室内環境が崩れると考えたため、12月18日18時に外気導入を停止したが、室内空気の循環風量の低減により、空気の均一化と排出(水分排気)能力が大幅に低減した。そのため、上部で空気が停滞し、高湿度の空気を長期間滞留させ、その状況を下部にある空調の温湿度センサーが感知しなかったため、天井面に結露が発生した。外気導入停止が室内空気の循環とセンサー感知にこれほど大きな影響を与えることは予測を超えていた。

○修復施設の復旧について

年末年始の休館を利用し、外気導入をした条件下で環境条件を変えて実験をしたが、いずれも結露が発生しなかった。この結果を受けて、平成22年1月6日文化庁担当官から補助事業の再開の同意を得たので、1月12日から事業を開始した。