九博メルマガ

九博メルマガ:シークレットページ

ゴッホ展会場デザインの ヒ・ミ・ツ

*ゴッホ展会場デザインを担当した池田英雄クリエィテイブディレクター(デザインオフィス イオ)にお聞きしました。

テーマ:ベース照明が少ない博物館を美術館化させる。


壁面の色は、1〜6章のテーマにあわせて変えています。


キャプションにゴッホの顔(目印)が入っているものがゴッホの作品です。
キャプションの色は、壁面の色をワントーンあげたものにしています。(東京展は白でした)



会場内の明るさは、1〜6章のテーマにあわせて様々な照明により変えています。
会場は壁の色や明るさに変化をつけ、雰囲気が変わることにより、新たな章(テーマ)に変わったことを感じていただければと思います。
*作品保護のため、閉館後に撮影しているので、会場内の明るさは開館時間中とは異なります。

(1)絵を中心に明るくなるよう、同じ絵に角度を変えた照明をあてている箇所


(2)フィルターを使用している箇所
今回の展覧会では、作品保護のため、照明は素描や浮世絵が50ルクス以下、油彩画は300ルクス以下に厳しく制限されています。特に素描の照明は、照度を絞ることによる色の変化(赤みを帯びる)を押さえるため、フィルターを採用しています。



浮世絵の照明には、照度を絞っても比較的色の変化が少ないファイバー照明を採用しています。

(3)テーマにあわせ、空間全体の明るさ確保のため、新たに照明を追加している箇所


(4)壁面全体を明るくするため、壁の裏側(背面)に蛍光灯を使用し、間接照明を採用している箇所


ステージを白にしているのは、下からの反射も考慮しています。

(5)メインの作品(「灰色のフェルト帽の自画像」「アルルの寝室」「アイリス」)には、左右の間接照明とファイバー照明を採用することにより、より立体的に見えるよう工夫しています。



CG(右側)と部屋の再現(中央)、作品(左側)を並べ、見比べられるように配置しています。