特集展示
豊臣秀吉とアジアの外交
特集展示
豊臣秀吉とアジアの外交
近代社会以前のアジア諸国の外交は、現代のように国の首脳同士が対面や電話で直接コミュニケーションを取る外交とは異なり、外交使節がもたらす手紙や贈り物が、重要な役割を果たしていました。その手紙や贈り物には、皇帝と国王との上下関係や、国王と国王との対等関係などの儀礼(ぎれい)を、目に見える形で表現する様々な仕掛けが施(ほどこ)されました。とくに手紙、つまり外交文書(がいこうもんじょ)には、書式や言葉づかいだけでなく、素材や装飾、押印(おういん)の位置などからも、国と国とが互いをどのように位置づけようとしていたのかを読みとることができます。
本展はそのなかでも、アジア諸国を巻きこんだ「壬辰戦争(じんしんせんそう)」*(「文禄(ぶんろく)・慶長(けいちょう)の役(えき)」、1592-98)と豊臣秀吉にまつわる外交文書や外国からの贈り物に注目するものです。九州初公開の国宝や重要文化財を含む、秀吉をめぐる一級の外交関係資料を一堂に公開します。この絶好の機会をお楽しみいただくとともに、展示作品から読み取れる秀吉の世界戦略やアジア諸国の反応、外交交渉の実情などにも注目していただけましたら幸いです。
*「壬辰・丁酉倭乱」(韓国)や「万暦朝鮮役」(中国)などとも称されるこの戦争を、近年、国際的な観点から捉え直そうという動きの中で「壬辰戦争」という呼称が使用されつつあり、本展でもその動向を反映して「壬辰戦争」の呼称を用いています。
主な展示作品
見据える先はアジア制覇

佐賀県重要文化財 豊臣秀吉像(とよとみひでよしぞう)
縦36.3㎝ 横24.0㎝
佐賀県立名護屋城博物館
明の使節も訪れた、大陸侵攻の拠点

佐賀県重要文化財 肥前名護屋城図屛風(ひぜんなごやじょうずびょうぶ)
縦157.0㎝ 横350.0㎝
佐賀県立名護屋城博物館
【展示期間】2/17-3/9
秀吉を「日本国王」に
全長5メートル超の全貌を公開!

重要文化財 明神宗誥命(みんしんそうこうめい)
豊臣秀吉宛、縦31.3㎝ 横501.2㎝
大阪歴史博物館
【展示期間】1/27-2/15
明の皇帝から秀吉へのメッセージ

明神宗勅諭(みんしんそうちょくゆ)
豊臣秀吉宛、縦53.0㎝ 横172.8㎝
宮内庁書陵部
秀吉側近を明の武官に任じる

重要文化財 明国箚付(みんこくさっぷ)
前田玄以宛、縦111.1㎝ 横85.3㎝
東京大学史料編纂所
【展示期間】2/17-3/9
*1/27-2/15は山形・上杉神社所蔵の「明国箚付」(重要文化財、上杉景勝宛)を展示します。
金の龍が描かれた、国王から将軍への国書専用箱

重要文化財 朱漆龍宝珠瑞雲文金泥絵文書箱(しゅうるしりゅうほうじゅずいうんもんきんでいえもんじょばこ)(朝鮮国書箱(ちょうせんこくしょばこ))
縦16.5㎝ 横52.5㎝ 高16.5㎝
東京国立博物館
妙法院(京都)と上杉神社(山形)の国宝・重文を、九州初公開!
国宝 ポルトガル国印度副王信書 京都・妙法院【展示期間】1/27-2/15
重要文化財 大紅織金胸背麒麟円領 京都・妙法院
重要文化財 緑貼裏 京都・妙法院【展示期間】2/10-3/9
重要文化財 大紅刻糸胸背斗牛円領 山形・上杉神社【展示期間】1/27-2/8
重要文化財 犀角帯 山形・上杉神社【展示期間】1/27-2/8
関連イベント
申し込み不要、先着270名
きゅーはく☆とっておき講座
深掘り!特集展示「豊臣秀吉とアジアの外交」
荒木和憲氏(九州大学大学院准教授、日本中世史・対外交流史)
河上繁樹氏(大阪学院大学教授・関西学院大学名誉教授、染織史)
申し込み不要・先着順
ミュージアム・トーク
②令和8年2月17日(火)15時00分~15時30分
②一瀬 智(九州国立博物館研究員)

