館長メッセージ
![富田 淳[九州国立博物館長]](https://www.kyuhaku.jp/20th/img/tomita.jpg)
九州国立博物館長 富田 淳
開館20周年にあたって
《20年分の感謝を全ての人に》
九州国立博物館は、東京・奈良・京都に次ぐ、全国で四番目の国立博物館として、平成17(2005)年10月16日、太宰府に開館しました。
太宰府では、明治6年(1873)から8年まで、3回にわたって博覧会を実施しました。明治26年(1893)10月2日には、太宰府に鎮西博物館を設置する件を、内務大臣井上馨が許可しています。しかし諸般の事情によって、建設は凍結されてしまいました。明治32年(1899)2月7日、福岡を訪れた岡倉天心は福岡日日新聞(現西日本新聞)の取材に応じ、改めて九州に博物館を設立する必要性を語っています。
紆余曲折を経ながらも、九州百年の夢が実現したのは、地元の政財界を始めとする多くの方々の努力の結晶に他なりません。爾来、「日本文化の形成をアジア史的観点から捉える」というコンセプトのもと、さまざまな活動を展開してきました。現在、総来館者数は1900万人余り。令和7年にめでたく開館20周年を迎えられますのも、ひとえに皆様がたの永きにわたる温かいご支援の賜物です。ここに厚く御礼を申し上げます。
《次の一歩もあなたと共に》
九州国立博物館では、来年の3月31日までをアニバーサリーイヤーと位置づけ、さまざまな企画を実施しています。太宰府天満宮からのアクセストンネルは、斜行リフトを斜行エレベーターに刷新し、利便性もさらに向上しました。
夏休みが始まる7月5日から8月31日までは、九州・沖縄および九博の名宝を一堂に集めた特別展「九州の国宝 きゅーはくのたから」を開催します。九州各地の文化財を楽しんだ後は、ぜひ現地にも足を延ばしてください。
当館は「時間を旅する博物館」として、新しい世界に出会える時間の旅をご案内してまいります。文化財を味わい楽しみ、多くの方々と感動を共有し、繋がり響きあうことで、今まで自分でも気づかなかった新しい自分を発見していただければ幸いです。悠久の歴史の中で、九州の素晴らしさを、九博の楽しさを、ご満喫ください。
私どもは引き続き、文化の集積と発信を担うナショナルセンターとして、全ての方々に愛される、より親しみやすい博物館を目指し、職員が一丸となって鋭意努力を重ねる所存です。今後とも、よろしくお願いいたします。
2025年4月
館長 富田 淳