過去の展示情報

トピック展示 : - 東京国立博物館所蔵 -
中国陶磁名品展

横河民輔コレクション

壮大な中国陶磁の歴史をたどる至高のコレクション!!


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展示期間:

前期:平成24年4月24日(火)〜6月17日(日)
『古代から唐・宋・元時代のやきもの』

後期:平成24年6月20日(水)〜9月2日(日)
『明・清時代のやきもの』

展示場所:

文化交流展示室 関連第9・10室

概要:

「三絶(さんぜつ)」と呼ばれし名品来たる。
 東京国立博物館には昭和7年から18年にかけて7回にわたって1100件に及ぶ膨大な中国陶磁器のコレクションが寄贈されました。これが東京国立博物館所蔵の中国陶磁器の核となった「横河民輔コレクション」です。古代から清時代まで重要文化財4件を含む優品、学術的にも貴重な作品が多く、日本随一、いや世界を見渡してもこのようなコレクションはほとんどなく、貴重なコレクションです。
 中国陶磁器は八千年の歴史を持つとも言われ、あらゆる陶磁器の起源がそこにあるとも言われております。アジアのみならずヨーロッパやイスラムの陶磁器にも大きな影響を与えてきました。横河民輔氏は中国陶磁器を蒐集するにあたり、「あらゆる時代を網羅する、あらゆる種類のものを集めることに専ら努力を傾けた」といわれております。その姿勢に基づき集められたコレクションだからこそ、今回、中国陶磁の悠久の歴史と美について理解する絶好の機会になるといえましょう。
 本展は、コレクションの性格を鑑み、「古代から清代までの中国陶磁の歴史を100点前後の作品で理解できる」内容にしています。そして、前期を『古代から唐・宋・元時代のやきもの』、後期を『明・清時代のやきもの』と題して、大コレクションから選りすぐった名品を紹介します。 中国陶磁器の造形のすばらしさや釉の美しさ、精緻な文様の数々を思う存分楽しんでいただければ幸いです。


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展示品目録:

*ご好評につき、三彩貼花龍耳瓶を4階アプローチにて公開延長しております。
[展示期間:6月19日(火)〜9月2日(日)]

展示作品の紹介
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前期:4月24日〜6月17日『古代から唐・宋・元時代のやきもの』
三彩貼花龍耳瓶

重要文化財 三彩貼花龍耳瓶(さんさいちょうかりゅうじへい)
唐・8世紀

重要文化財 三彩貼花龍耳瓶(さんさいちょうかりゅうじへい)
唐・8世紀

ギリシャの貯蔵器であるアンフォラに類似する優美な曲線と勇壮な龍の把手。そして、なによりも胴の真ん中にくっきりと抜かれた貼花文のするどさは、まさに「三絶」と呼ばれるにふさわしい風格が漂う。

*ご好評につき、三彩貼花龍耳瓶を4階アプローチにて公開延長しております。
[展示期間:6月19日(火)〜9月2日(日)]

白釉黒地白花牡丹文枕

白釉黒地白花牡丹文枕(はくゆうくろじはくかぼたんもんまくら)
磁州窯 北宋・12世紀

白釉黒地白花牡丹文枕(はくゆうくろじはくかぼたんもんまくら)
磁州窯 北宋・12世紀

民窯らしい伸びやかな文様と大きく広がる枕の造形。文様は胎土の褐色、白化粧の白、黒釉の黒を順番に削り落とすことで牡丹文様をつくりだす逸品である。

後期:6月20日〜9月2日『明・清時代のやきもの』
青花束蓮文大皿

青花束蓮文大皿(せいかそくれんもんおおざら)
景徳鎮窯 明・15世紀

青花束蓮文大皿(せいかそくれんもんおおざら)
景徳鎮窯 明・15世紀

鍔縁に規則的でリズミカルナ波濤文、内側面に牡丹、蓮花、菊、山茶花の四季花、見込みには蓮や慈姑などを束ねた束蓮文。コバルトの発色がすばらしい明代初期15世紀前半の基準作である。

琺瑯彩梅樹文皿

重要文化財 琺瑯彩梅樹文皿(ほうろうさいばいじゅもんさら)
景徳鎮窯 清・18世紀【雍正年間】

重要文化財 琺瑯彩梅樹文皿(ほうろうさいばいじゅもんさら)
景徳鎮窯 清・18世紀【雍正年間】

七宝の技法を使った文様で、雪の中で梅が開くという題字をもつ。まさに一幅の絵画としても観賞できる。高度に発達した文様技術。精緻を極めた清朝を代表する名品である。

 

私の原点「横河民輔コレクション」

重要無形文化財保持者(人間国宝)中島宏先生

「横河民輔コレクションについて」

中島:あの時代にこれだけのコレクションを作り上げたというのがすばらしい。すべての時代、すべての種類が揃っている。私も若い頃に東京国立博物に良く見に行って、穴が開くほど良く見たのを昨日のように思い出しますよ。そういう意味では、私の原点というのはこの「横河コレクション」にあるといってもいい。

「古越州と宋代の青磁」

中島:あの青磁輪花鉢(*)はとてもすばらしい作品でこんな薄い作品でよくここまで残ってきたと思う。やはり青磁は宋代になってから格段とよくなりますね。ここに展示している青磁四耳壺を見るとまだよく還元されていないと思うよ。でもあの四耳壺は、同様の品が法隆寺に伝世品があって、世界最古の伝世品といわれている。あれを調べて新聞に書いたことがあります。中国にも何度も行きましたよ。窯跡も行った。まだ未解放地区だった龍泉窯も僕が一番に行った。道も悪かったし大変だった。でも現場に行って圧倒されました。やはり、中国陶磁のレベルの高さは驚くべきものだよ。

「工芸展などを見ていると中国陶磁器をお手本にしている作品がありますね」

中島:最近は非常に多くなったと思う。形もうまく出来ているし、色も良く出ている。技術の面では非常にうまいですよ。でも、ここにある横河コレクションの陶磁器を見たときに、その時代時代の雰囲気というか空気というかそういうものを感じます。そこまで表現するのは至難の業です。作家にとって、ここに大きな山があると思う。だから、こういう横河民輔コレクションのような良質の中国陶磁をもっと見て、そういう時代の雰囲気みたいなものを感じ取ってもらいたいね。

*本作品は、現在、東京国立博物館本館にて特集陳列「東洋の青磁」に出品しており、九州国立博物館での展示はございません。

(聞き手 九州国立博物館 展示課 遠藤啓介)

 
  重要無形文化財保持者(人間国宝)中島宏先生  

担当研究員のコメント

「三絶(さんぜつ)(並ぶことのない名品)と呼ばれて絶賛されてきた「重要文化財 三彩貼花龍耳瓶」をはじめ、選りすぐりの名品を紹介します。ぜひご覧ください。
また、会期中はたくさんのイベントも開催します。皆さまのご来場を心よりお待ちしています。

遠藤啓介(展示課研究員)

特別講演会

東京国立博物館で中国陶磁を専門とし、長年、横河コレクションに接してこられた今井敦氏にその内容と魅力についてお話しいただきます。

「横河民輔コレクションの中国陶磁とその魅力」

○ 講師:今井敦(東京国立博物館)

○ 日時:5月12日(土)14:00〜15:30

○ 場所:ミュージアムホール 先着280名 当日受付 参加無料

中国陶磁史を究める!!連続講座

中国陶磁の歴史と魅力を、最新の研究成果などをまじえてお話しいたします。(全4回)

○ 場所:研修室 先着50名 当日受付 参加無料

【前期】

「南北朝から唐のやきもの」

○ 日時:5月19日(土)14:00〜15:00

○ 講師:市元 塁(九州国立博物館)

「宋・元のやきもの」

○ 日時:5月26日(土)14:00〜15:00

○ 講師:遠藤啓介(九州国立博物館)

【後期】

「明のやきもの」

○ 日時:7月14日(土)14:00〜15:00

○ 講師:三笠景子(東京国立博物館)

「清のやきもの」

○ 日時:7月28日(土)14:00〜15:00

○ 講師:今井敦(東京国立博物館)

ミュージアムトーク!!

文化交流展示室 関連9・10室内において、担当研究員が展示作品の 見どころをお話しします。

*ご希望の方は当日、時間までにお集まりください。

○ 時間:15:00〜(30分程度)

○ 聴講料:無料(ただし文化交流展の観覧料は必要)

○ 日時:

前期 4月27日(金)・5月11日(金)・6月1日(金)

後期 6月29日(金)・7月27日(金)・8月10日(金)

事前レクチャー講座

アクロス・文化学び塾
「中国陶磁名品展 −横河民輔コレクション−」について

○ 日時:4月28日(土)14:00〜15:30

○ 会場:アクロス福岡(福岡市中央区天神1−1−1)セミナー室2

○ 受付:事前申込。先着70名

○ 受講料:有料

○ 講師:遠藤啓介(九州国立博物館 展示課研究員)

○ お申し込み・お問い合わせ:

 アクロス福岡文化観光情報ひろば・電話:092−725−9100

○ 詳細:アクロス福岡Webサイト[サイト外リンク]


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