催し物案内

九州国立博物館「大宰府学研究」事業・科学研究費助成事業「日中文明遺物の産地探索をめざす中近世沈船・舶載遺物の考古学と自然科学の融合研究」シンポジウム

アジアを変えた鉄 ― 大宰府鴻臚館の衰退と海商の時代 ―

日時:

令和4年3月5日(土)10時00分~16時00分(9時30分受付開始)

会場:

九州国立博物館1階ミュージアムホール

主催:

九州国立博物館・福岡県、福岡大学考古学研究室

定員:

144名(参加費無料、事前申し込み不要(当日先着順))

参加費:

無料(ただし展覧会観覧の際は、観覧料が必要です)

才田遺跡出土遺物

才田遺跡出土遺物
(九州歴史資料館所蔵)

趣旨:

琉球諸島・日本列島の発掘調査で発見されていた謎の鉄製品「棒状鉄製品」。近年、「宋元代の沈没船」が相次いで発見され、貿易のための航海中に沈んだこれらの船に日本出土品と同一形態・同一法量の棒状鉄製品(鉄条)が大量に積まれていることが明らかとなり、本品がアジアをまたぐ交易品として売買されていたことが実証されました。加えて、東南アジアの研究では、宋元代と並行する13~15世紀に、東北タイ・中部タイの在来鉄生産が衰退することが明らかにされており、中国産鉄の流通が周辺諸国の産業にも影響を与えている状況も浮き彫りになってきました。
本シンポジウムでは、「宋元代沈没船に積載された大量の鉄素材」や「琉球諸島・日本列島で出土した棒状鉄製品」を手がかりに、東アジアの鉄流通の実態を探ります。日本列島の中近世の流通鉄素材は専ら「たたら製鉄」で生産され、「日本刀」の素材はすべて国産とみる定説も、アジア規模で流通する棒状鉄製品の存在が明らかになった今、新たな視点から検証していく必要があるでしょう。また、宋元代と並行する日本列島では、古代より「大宰府鴻臚館」が担ってきた対外交易の役割が、東シナ海沿岸の「海商」へとダイナミックに移り変わる時代とも重なっており、各地域の社会変化も注視されます。
上記のような複合的課題を明らかにするために、本シンポジウムでは考古学と自然科学の融合研究を試み、新たなアジア史の構築を目指します。

プログラム:

9:30~10:00
開場・受付
10:00~10:10
開会挨拶 河野一隆(九州国立博物館)
10:10~11:10
基調講演「中世遺跡出土の棒状鉄素材は中国宋からの輸入鉄か-朝倉市才田遺跡・八重山出土品に注目して」
桃﨑祐輔(福岡大学人文学部)
11:10~11:40
研究発表「棒状鉄製品の流通と鉄生産の変動」
小嶋篤(九州歴史資料館)
11:40~12:10
研究発表「南海Ⅰ号から発見された鉄資料-沈没船資料に見える鉄素材-」
石黒ひさ子(明治大学日本古代学研究所)
12:10~13:20 休憩
13:20~13:50
研究発表「生物を介する環境での鉄の動態」
沼子千弥(千葉大学大学院理学研究院)
13:50~14:20
研究発表「棒状鉄資料の蛍光X線分析における問題点-資料表面の錆の影響-」
市川慎太郎・佐藤かのん・脇田久伸・栗崎敏(福岡大学理学部)
14:20~14:50
研究発表「南蛮交易と金属の流通-海のシルクロードと戦国大名-」
上野淳也(別府大学文学部)
14:50~15:00 休憩
15:00~15:30
研究発表「高麗島伝説と西沙群島の水中遺跡」
古澤義久(福岡大学人文学部)
15:30~15:50
展示紹介「アジアを変えた鉄」
岡寺良(九州国立博物館)
15:50~16:00
閉会総評 脇田久伸

関連展示:

文化交流展「アジアを変えた鉄」
会期:令和4年1月18日(火)~3月13日(日)
会場:九州国立博物館4階文化交流展示室(関連第7室)

お問い合わせ先:

ハローダイヤル 050-5542-8600
(9時00分〜20時00分/年中無休)