博物館からのお知らせ

九州ビルヂング協会からの文化財寄贈について

 九州ビルヂング協会は昭和29年4月に設立され、平成16年4月に、創立50周年を迎えました。その歴史と重み、さらに社会的・時代的並びに経済的な背景等も十分に踏まえて、社会公共的にその意義が大で、かつ、その価値が将来に亘って評価される記念行事を実施することとしました。
 その記念として、10月に開館する九州国立博物館へ、展示・研究のための資料とするため、アジアとの交流を物語る古代の銅鏡4面を寄贈するものであります。


彩画(彩文)鏡(さいが(さいもん)きょう)2面



分類:鏡
時代:中国、戦国時代〜前漢代
法量:径:21cm・20.5cm


盤龍鏡(ばんりゅうきょう)1面
分類:鏡
時代:中国、3世紀
法量:径:直径13.7cm


瑞花鳳凰麒麟猊紋鏡(ずいかほうおうきりんげいもんきょう)1面
分類:鏡
時代:8〜9世紀
法量:径:19.6cm


 寄贈文化財のうち、彩画(彩文)鏡2面が特に希少価値が高い鏡です。この形式の鏡は今から2500年前の中国戦国時代〜前漢代に製作されたもので、鏡の表面に赤・青・白・緑の4色の顔料で文様を描いています。現在、所在が知られているもので世界でも総数35面ほどしかなく、たいへん珍しいです。日本でも弥生時代の伊都国(いとこく)王墓と推定される前原市三雲南小路1号墓から、破片数個が出土しているのが唯一であり、完形品である本作品の価値は、はかり知れません。九州国立博物館は先だってこの鏡について自然科学的な分析を実施し、使われていた顔料が中国の出土文化財(秦代の人物俑)と共通していることをつきとめました。こうした分析結果から得られた新知見は、中国鏡の研究を前進させ、文化財の保存修復にも大きく寄与するものであるといえます。
 また、盤龍鏡は3世紀に中国で製作された鏡で、日本でも古墳からの出土例が多く知られており、瑞花鳳凰麒麟猊紋鏡は8〜9世紀に製作された鏡です。いずれも銅の質や鋳上がりがすばらしい作品で、展示効果も高いものであると考えます。
 これら4面の鏡は、九州国立博物館の文化交流展示において、重要な位置を占めるにふさわしい文化財です。