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特別展『平山郁夫 シルクロードの軌跡』

【特別コラム】日本画の材料

筆者 臺信祐爾(九州国立博物館 文化財課長)

 「日本画」は、「洋画(油絵)」との対比で、明治後半以降用いられるようになった比較的新しい言葉です。しかし、その材料と技法には、千数百年の歴史があります。
 一般に、紙、絹、漆喰、板などの基底材(きていざい)に、墨(すみ)と、岩絵具(いわえのぐ)、染料(せんりょう)や胡粉(ごふん)などの天然材料に膠(にかわ)を接着剤として混ぜて描きます。
 岩絵具は、文字通り、天然の鉱物を細かく砕いたもので、その粒子が細かくなるほど明るい色調となります。焼いて変色させることもできます。膠と混ぜて基底材に固定させます。
 現在流通している最高品質の胡粉は、焼いた天然のいたぼ牡蠣の貝殻を砕いて作られています。奈良時代には唐から輸入した鉛白が主流でしたが、室町時代ころから貝殻を原料とするようになりました。膠と混ぜて用いられます。
 動植物から抽出された色素を絵の具として使用するのが天然染料です。そのままか、石灰や胡粉に吸着させ、膠と混ぜて用いられます。  膠は、獣や魚の皮や骨などのタンパク質から抽出したゼラチンで、古くから接着剤として用いられてきました。岩絵具、胡粉などと混ぜて、これらを基底材に固定します。多すぎるとひび割れし、少なすぎると剥落しやすくなります。

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山梨・平山郁夫シルクロード美術館展示コーナーより
平山氏の日本画をじっくり鑑賞して、色彩の奥深さを感じてください。
特別展『平山郁夫 シルクロードの軌跡』いよいよ27日まで!お見逃しなく!