過去の展示情報

トピック展示 :

東南アジアの美術


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展示期間:

平成21年8月5日(水)〜9月23日(水・祝)

展示場所:

文化交流展示室 関連第9室

概要:

 東南アジアは、海を通じて東方世界と西方世界が結びつく文化交流の接点として、古来極めて重要な役割を果たしてきました。ただ、接点になっただけではありません。東南アジアの豊富な大地は様々な生産物を産出し、その海は世界という巨大な市場に通じる道となったのです。それらの交易による富の蓄積は独自の高い文化を築いてきました。
 本トピック展では、東南アジアの美術の魅力をご紹介致します。宗教造形としての彫刻、儀礼や晴れの場で使用された染織、護身や邪を祓う力がこめられた金工、遠く日本の茶人に珍重された漆芸、国際交易の中で大海を渡った陶磁器も含む多様な美術を展示いたします。

主な展示品:

主な展示作品
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展示作品の紹介
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如来立像

如来立像
(にょらいりゅうぞう)
タイ(東北部) ドヴァーラヴァティー時代 8-9世紀
九州国立博物館

如来立像
(にょらいりゅうぞう)
タイ(東北部) ドヴァーラヴァティー時代 8-9世紀
九州国立博物館

大きくうねった目、ぴったりと体にまとわりついた大衣、両手左右対称の位置に構える表現などタイのドヴァーラヴァティー彫刻の特徴をもつ。小像ながら細部の造りも丁寧でブロンズの作りも薄い。鋳造技術の高さがうかがえる。

肩掛 ワヤン人形文経緯絣

肩掛 ワヤン人形文経緯絣
(かたかけ わやんにんぎょうもんたてよこがすり)
インドネシア(バリ島テンガナン) 19-20世紀前半
九州国立博物館

肩掛 ワヤン人形文経緯絣
(かたかけ わやんにんぎょうもんたてよこがすり)
インドネシア(バリ島テンガナン) 19-20世紀前半
九州国立博物館

「グリンシン」として知られる経緯絣。円形にギザギザの方形をはめ込んだ図は曼荼羅で、宇宙図を表象する。またその黒は永遠を意味し、白は生命を意味するという。

肩掛 ワヤン人形文経緯絣

青花竹鳥図大皿 竹に止まる鳥の大皿
(せいかたけとりずおおざら たけにとまるとりのおおざら)
ベトナム 15-16世紀
東京国立博物館

青花竹鳥図大皿 竹に止まる鳥の大皿
(せいかたけとりずおおざら たけにとまるとりのおおざら)
ベトナム 15-16世紀
東京国立博物館

中国陶磁の技術を受けて作られるようになったベトナム製染付の大皿。竹に止まった鳥の姿が独特の奔放な筆致で描かれている。中国の青花のような鮮明な色彩ではないが、その特徴ある雰囲気に日本でも人気がある。
ベトナムの陶磁は中国陶磁の技術を受けて作られるようになった。コバルトで描かれた鳥の姿は、ベトナム陶磁独特の奔放な筆致である。

怪獣蒟醤十二角形高坏

怪獣蒟醤十二角形高坏
(かいじゅうきんまじゅうにかっけいたかつき)
タイ アユタヤー時代 17世紀
東京国立博物館

怪獣蒟醤十二角形高坏
(かいじゅうきんまじゅうにかっけいたかつき)
タイ アユタヤー時代 17世紀
東京国立博物館

蒟醤(きんま)とは、器面に文様を線彫りし、その中に色漆(いろうるし)を充填(じゅうてん)して、乾いたのちに研ぎ出す漆工芸技法である。タイの蒟醤は、この高杯のように、細かな地文様に、鳥や馬のような空想獣をのびやかにあらわすのが特徴である。

担当研究員のコメント

「文化のるつぼと言える東南アジアの美術を一堂にご紹介することはできませんが、東南アジア世界に思いをめぐらせ、本展をご覧になった皆様が以前に増して東南アジアに深い関心を寄せていただき、アジアとの交流の歴史を考えるきっかけにしていただければ幸いです。」

原田あゆみ(企画課研究員)


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