過去の展示情報
屏風の輝き
展示期間:
平成21年3月4日(水)〜4月12日(日)
展示場所:
文化交流展示室関連11室
概要:
屏風は、広い室内を仕切り、風をよける家具の一つです。その大きな平面には、古来より風景や人物、花鳥などさまざまな絵画が描かれてきました。襖絵や壁画とは違い、畳んだり移動させたりすることができる屏風は、時と場所に合わせてその部屋の雰囲気をガラリと変える力を持っています。そのため、儀礼や儀式といったイベントから日常生活に至るまで、日本以外にも中国や朝鮮など東アジア全域において広く使われていました。
中国では既に漢時代の書物に「屏風」という言葉が出てきますが、日本では朱鳥(しゅちょう)元年(686)、新羅の使者が天武天皇へ献上した宝物の一つとして『日本書紀』に記録されています。これ受けて、奈良時代・8世紀には国内でも「鳥毛立女屏風(とりげりつじょのびょうぶ)」(正倉院宝物)のように絵を描いた屏風の制作がはじまり、平安時代・10世紀になると、日本の風景を描いた屏風が中国・北宋の皇帝へ献上されるようになります。輸入品であった屏風は、この300年ほどの間に、逆に日本からの輸出品へと変わっていったのです。
残念なことに、当時の屏風は国内外を含め遺っておらず、その様子は文献でしか窺い知ることができません。それによると「設色甚重」「多用金碧」、つまり、金や鮮やかな色彩を用いた、彩り豊かなものであったと記されています。日本国内では水墨画の屏風も多数制作されていましたが、国外では極彩色の、特に金箔や金泥などを多用した「金屏風」が珍重されたようです。この流れは江戸時代に至るまで続き、多くの豪華絢爛な屏風たちが、中国や朝鮮、そしてヨーロッパに贈られました。
屏風は、日本を代表する美術工芸品の一つです。今回のトピック展示ではこのうち、諸外国の人々が特に愛好した、金を用いた彩り豊かな屏風の数々をご紹介致します。
主な展示品:
- 「扇面画帖」一帖、室町時代・16世紀、九州国立博物館
- 「化物図巻」一巻、狩野宗信筆、江戸時代・18世紀、九州国立博物館
- 「鹿・ほととぎす図屏風」六曲一双、狩野重信筆、江戸時代・17世紀、九州国立博物館
- 「大原御幸図屏風」六曲一隻、江戸時代・17世紀、文化庁
- 「物語図屏風」二曲一隻、伝俵屋宗達筆、江戸時代・17世紀、個人蔵
- 「農耕図屏風」六曲一双、江戸時代・17世紀、個人蔵
- 「韃靼人狩猟図屏風」式部輝忠筆、六曲一双、室町時代・16世紀、文化庁