トピック展示 :
金子量重氏寄贈品による アジアの民族造形
Ethno-Forms of Asia:Selected pieces from Dr. KANEKO collection
概要:
九州国立博物館は、我が国とアジアとの文化交流をそのテーマとしています。その趣旨にご賛同いただいたアジア民族造形文化研究所長である金子量重氏より、2回にわたって1100件を越えるアジア各地の民族造形品の寄贈を受けました。この金子コレクションには、アジアに暮らす様々な民族によって作り使われてきた、生活のあらゆる側面に関係する道具が含まれているといっても過言ではありません。今回の展覧会では、このコレクションの中から厳選したおよそ200件を展示します。
展示テーマは大きく二つに分かれます。一つは第3室の「アジアの生活、アジアの民族造形」です。ここでは、様々な生活用具を衣・食・住・芸能・祈り・学・遊びという7つに分類し、同様の機能や目的を持つ道具が、地域・国・民族によって実に様々な形態やデザインで表現され、使われていることに注目しています
続く第2室では、「アジアの顔、アジア人の眼差し」と題し、アジア各地の仮面や影絵、人形などを通じて、アジアの人々が自分達・自民族の顔、表情をどのように表現しているのかに焦点を当てます。顔の表現に注目すると、民族ごとの形質的特徴、価値観、思想、美的センスなどが凝縮して表現されていることがよく分かるでしょう。
この展覧会が、簡単に「アジア」という一言にまとめられている人々の暮らしや考え方が、実は大変多様で、独自性に富むものであることを実感していただく機会の一端となれば幸いです。
展示作品の紹介
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牛角形銀製頭飾り
幅80cm×高さ84cm 中国貴州省苗族雷山点東地区 20世紀
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牛角形銀製頭飾り
幅80cm×高さ84cm 中国貴州省苗族雷山点東地区 20世紀
中国南西部に居住する少数民族苗族の若い女性が、祭りの時に着用する銀製の冠。銀板を牛角形に切り抜き文様を打ち出す。銀製の装飾品は富裕の象徴でもある。苗族は農耕を主要な生業としており、水牛は苗族にとって生活の上で欠かすことのできない重要な家畜である。
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木彫バイラブ神鴨居
長さ3m×高さ39cm ネパール 20世紀
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木彫バイラブ神鴨居
長さ3m×高さ39cm ネパール 20世紀
バイラブ神は、ヒンズー教最高神の一であるシヴァ神のヴァリエーションで、ネパールで広く信仰される。この長さ3mの木製鴨居には、中央のバイラブ神が両端に彫り込まれた蛇?の尾に掴み噛みつく姿が彫り込まれている。
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石彫ビシュヌ神像・ヤクシャ神像
ビシュヌ神:高さ71cm、ヤクシャ神:高さ62cm
インドネシアバリ島バリアガ族 20世紀
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石彫ビシュヌ神像・ヤクシャ神像
ビシュヌ神:高さ71cm、ヤクシャ神:高さ62cm
インドネシアバリ島バリアガ族 20世紀
バリ島では古くよりヒンドゥー教が信仰され、多数の寺院壁面はヒンドゥー神話に基づく石造彫刻で飾られている。こうした伝統に基づき、バリでは現在でも石造彫刻が盛んに行われている。これら3体の彫刻は、中央がヒンドゥ教最高神の一でガルーダを乗り回すビシュヌ神、その両脇を1対のヤクシャ(夜叉)神が固めている。
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チョウ仮面
インド東部 幅127cm 20世紀
バングラディシュに隣接するインド東部の西ベンガル州などでは、「チョウ(Chhau)」と呼ばれる仮面舞踏劇が盛んに行われる。この仮面劇はいくつかの様式に分類されるが、この仮面はプルリア様式に属すものである。頭周囲全面を覆う銀色のスパンコールやビーズ、そして孔雀など原色の羽から窺われるように、この劇では強烈な太鼓音や激しい踊りを伴う凄まじい迫力を持つパフォーマンスが繰り広げられる。
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曼荼羅
縦92.5cm×横70.7cm ネパールタマン族 20世紀
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曼荼羅
縦92.5cm×横70.7cm ネパールタマン族 20世紀
タマン族はネパール北部に住むモンゴル系の民族である。この民族が曼荼羅を作り始めたのは100年ほど前からであり、金が産出するチベットの影響を強く受けて全体的に金色を多用する傾向を示す。この曼荼羅は中心に宇宙を示す円を、さらに周辺にも4つの円を描いており、背景となる黒地に金・赤・オレンジ・青など彩色による細密画が全面に展開されている。
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チャパン(コート)
丈121cm×裄141cm ウズベキスタン 19〜20世紀
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チャパン(コート)
丈121cm×裄141cm ウズベキスタン 19〜20世紀
西アジア、アラル海の南東に広がるウズベキスタンでは、民族衣装にハン・アトラスと呼ばれる絹地の経絣が多用される。染めには赤、黄、緑や紫などの色を用い、この写真のような縦方向への大円と小円からなる文様も盛んに用いられている。チャパンには中綿を入れ、裏地には色とりどりの派手な木綿が使われている。
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