展示情報

トピック展 :
ロシアが見たアイヌ文化

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展示風景
展示風景(*画像はクリックで拡大)
展示期間:
平成25年12月10日(火)〜平成26年2月16日(日)

展示場所:
文化交流展示室 関連第9・10・11室

主催:
九州国立博物館、公益財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構

概要:

18世紀から20世紀初頭にかけて収集されたアイヌの人たちの生活文化を語る資料
がロシア科学アカデミー・ピョートル大帝記念人類学民族学博物館(通称:クン
ストカメラ)に多数収蔵されています。
これらの資料は、千島列島でヴォズネセンスキーが収集した千島アイヌの資料、
サハリン(樺太)でピウスツキが収集した樺太アイヌの資料、また、ピウスツ
キとシェロシェフスキが1903年に白老と平取で収集した北海道アイヌの資料など、
収集者や収集年、収集地が判明していることと、日本に現存しないものが多く
あることなどから、大変貴重な資料といえます。

本展は、同館が所蔵しているコレクションの中から約140点を展示公開するもの
で、日本では初公開となります。
また、日本ではその所在が知られていなかった幕末の絵師・平沢屏山による
アイヌ絵3点もあわせて公開いたします。
これらのアイヌ資料をとおして、かつて千島列島、サハリン(樺太)、北海道に
広く居住していたアイヌの人たちの歴史と生活文化をご紹介いたします。


展示品目録:

展示風景
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展示作品の紹介
*作品はすべてロシア科学アカデミー・ピョートル大帝記念人類学民族学博物館の所蔵品です。
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第一章「アイヌ文化との出会い」
テンキ(籠〔テンキ草製〕)

テンキ(籠〔テンキ草製〕)
1840年収集、千島列島

テンキ(籠〔テンキ草製〕)
1840年収集、千島列島

テンキ草(ハマニンニク)の茎を使って作った容器です。テンキ草の茎を束ねて芯とし、その上に茎を巻きつけて作り上げています。同じような籠はカムチャツカからアラスカにかけて住んでいる先住諸民族の間でもつくられました。

テンキ(籠〔テンキ草製〕)

「雪中酒宴図」平沢屏山画
19世紀中、北海道

「雪中酒宴図」平沢屏山画
19世紀中、北海道

幕末から明治にかけて活躍した平沢屏山の作品です。2012年の調査で初めて日本に存在が確認されました。透かし(ウォーターマーク)の入ったイギリス製の洋紙に描かれています。

第二章「女の手業」
カヤ(魚皮製の儀式用着物)

カヤ(魚皮製の儀式用着物)
1903年収集、サハリン

カヤ(魚皮製の儀式用着物)
1903年収集、サハリン

サケの皮を縫い合わせて作った女性用の着物です。背びれの部分を切り抜き、別の皮をアップリケのように当てています。衽や裾には木綿布やアザラシの皮を縫いつけています。

カーニクフ/「マハネクフクフ」(飾り帯)

カーニク/「マネク」(飾り帯)
1903年収集、サハリン

カーニク/「マネク」(飾り帯)
1903年収集、サハリン

女性がこのような飾り帯を締めるのは樺太アイヌ独自のもので、儀礼などに関係なく日常でも締めていたようです。

第三章「男の手業」
イタ(盆)

イタ(盆)
1897年収集、北海道

イタ(盆)
1897年収集、北海道

内側に渦巻き文や交叉文が複雑に配置され、その間を鱗彫りなど緻密な彫りで埋めています。大胆かつ細かな彫りをご覧ください。

ウコニロシキ(ゲーム)

ウコニロキ(ゲーム)
1903年収集、サハリン

ウコニロキ(ゲーム)
1903年収集、サハリン

縦横に線を引き、3本ずつ棒を動かして2人で対戦します。相手の動きを邪魔しながら、早く相手の順に一直線に3本を並べた方が勝ちです。

第四章「祈り」
イクパスイ/イクニッ(神に祈りを捧げる篦)

イクパスイ/イクニッ(神に祈りを捧げる篦)
1904年収集、北海道 シキウ

イクパスイ/イクニッ(神に祈りを捧げる篦)
1904年収集、北海道 シキウ

酒をカムイの世界に届け、アイヌの言い分を伝える役割をする道具です。この木のヘラの先端に酒をつけて祈ると、カムイの世界では酒や供物が何倍にもなって届けられるといいます。

チプイヌフ(クマの耳当て〔儀礼用〕)

チプイヌ(クマの耳当て〔儀礼用〕)
1903年収集、サハリン マウカ

チプイヌ(クマの耳当て〔儀礼用〕)
1903年収集、サハリン マウカ

クマ送りの儀式の時にクマを飾りつけるためのものです。クマの姿を借りてアイヌの世界に来たカムイを、カムイの世界に送り返してやるのがクマ送りの儀式です。

(c)Peter the Great Museum of Anthropology and Ethnography(Kunstkamera) RAS, St. Petersburg, 2013

担当者からのひとこと

今回紹介する資料は、18世紀から20世紀初めに収集されており、かつ収集年、収集地、収集者が判明している点で、当時のアイヌの人々の生活をじかに知ることができるたいへん貴重なものです。現在日本には残っていないものもあります。丁寧に見ていくと、千島・サハリン・北海道のそれぞれの色や文様の特色もみえてくるかもしれません。この機会にアイヌの人々の手業をご覧ください。

関連イベント

アイヌ文様刺しゅう体験ワークショップ

アイヌ文様の刺しゅうに挑戦して、マイ・コースターを作ります。

日時:
平成25年12月14日(土)
(A)午前の部10時30分〜12時30分
(B)午後の部14時30分〜16時30分

会場:
九州国立博物館1階研修室

講師:
石井美香氏(社団法人北海道アイヌ協会優秀工芸師)

応募方法
対象:
18歳以上

募集人数:
(A)午前の部(10時30分〜12時30分)20名
(B)午後の部(14時30分〜16時30分)20名

応募方法:
往復ハガキに〔1〕郵便番号・住所〔2〕氏名〔3〕電話番号〔4〕年齢〔5〕希望の時間を記入のうえ、九州国立博物館交流課 アイヌ刺しゅうワークショップ係 まで送付のこと

申込〆切:
11月30日(当日消印有効)

参加決定:
参加者決定後、往復ハガキ復信にてご案内いたします。応募者多数の場合は抽選とします。通知ハガキをご持参のうえ、各回開始時間の前までに会場にお越しください。
*いただいた個人情報はワークショップ以外の目的には使用しません。

問い合わせ:
九州国立博物館交流課 アイヌ刺しゅうワークショップ係
〒818-0118 福岡県太宰府市石坂4-7-2
電話092-929-3294
FAX092-929-3980

講演会「アイヌコレクション-はるかなる時空の民族文化」

日時:
平成26年1月18日(土)
13時00分〜14時30分

会場:
九州国立博物館1階研修室

講師:
荻原眞子氏(千葉大学名誉教授、ロシアアイヌ資料調査団団長)

定員:
70名(申込不要、当日受付)

ミュージアムトーク

日時:
〔1〕平成26年1月16日(木)15時00分〜15時30分
〔2〕平成26年2月4日(火)15時00分〜15時30分

講師:
〔1〕〔2〕とも池内一誠(当館主任研究員)

会場:
九州国立博物館4階文化交流展示室関連11室


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