文化交流展示「海の道、アジアの路」

「文化交流展示」とは?


九州国立博物館の4階に展開する一大展示空間が文化交流展示室だ。ここは常時、800件程度の文化財を鑑賞できる当館の顔。しかし、なぜ ”常設展示” ではなく ”文化交流展示” なのか。それが、九州国立博物館に課せられた、日本の文化交流の歴史を展示することへの一つの答えである。日本の通史でもなく、九州の地域史でもなく、アジアとの文化交流史。私たちはこの展示室で、日本文化が外来文化の模倣だけでなく、消化し、蓄積して独自の世界を創造してきた道すじを示したいと思う。

しかし、言うは易くで、文化交流とは何かは、ちょっと考えただけでもすこぶる複雑だ。石器の登場から今日のSNSの普及にいたるまで、日本の、いや人類の歴史は文化交流の連続と言っても過言ではない。したがって、これさえ見たら分かるというような、日本の文化交流史なぞ展示できようもはずもない。文化交流展示室では、時代別の5大テーマに分けて、1500平方メートルの基本展示室と11の関連展示室を使って、常に展示替えをしながら、常時、展示を行っている。つまり、小さな特集陳列の集合体が文化交流展示であり、何度、来館しても、新鮮な文化交流史が分かるような切り口を提案したいと思う。これは他の博物館では行っていない初めての試みであるし、だからぱっと見ただけでは意図が伝わりにくい。したがって、この展示室を本当に楽しむための手がかりが必要だ。

それは4階エントランスに掲げてある『海の道、アジアの路(みち)』。道は文化交流の動脈であり、生命でもある。人・モノ・情報が行き交う交通路であり、中継基地としての都市や貿易港を育んだ世界文明の神経である。陳列品が辿ってきた文化交流の道すじに思いをはせる場を提供することが、当館の文化交流展示室の重要な目的なのだ。教科書で見た名品を辿るのも良し、自分の好みの分野を回るのも良し、自由に、興味のおもむくままに文化交流の道を散歩していただきたい。ここでは、歴史は「読む」ものではなく「体験する」ものなのだから。

文化交流展示室

展示コンセプト