国分瓦窯跡

太宰府市国分の筑前国分寺の北東約200mには、国指定史跡の国分瓦窯跡があります。当瓦窯跡の立地する四王寺山から伸びる台地上には、この他にも、来木・来木北・坂本などの瓦窯跡が見つかっています。
国分瓦窯跡は、現在灌漑用水の溜池の中に水没しており、見学することはできませんが、溜め池ができる前までは、窯跡が露出し、合計7基確認されていました。現在はその大部分が破壊を受け、2基のみが保存されています。内、1基については、実測調査がなされています。
その窯跡は、地下式有階無段登窯で、窯尻部(窯の最上部)には二本の煙道が伸びています。窯は焚口部から窯尻まで全長約5.3mを測り、焼成部の長さ約3m、焼成室中央部での幅は約1.5mです。
出土した遺物は、瓦類と須恵器片で、瓦と共に須恵器も焼成していた瓦陶兼用窯である可能性もあります。焼成した瓦は主として、筑前国分寺造営のための屋瓦生産と考えられていますが、本格的な発掘調査がなされていない現状では推測の域を出ません。
(太宰府市『太宰府市史 考古資料編』より)

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国分瓦窯跡

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来木北瓦窯(写真提供:九州歴史資料館)